抗生物質と人間――マイクロバイオームの危機 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2017年9月21日発売)
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感想 : 20

著者:山本太郎
通し番号:新赤版1679
刊行日:2017/09/20
9784004316794
新書 184ページ

内容説明
増加する生活習慣病,拡大する薬剤耐性菌.その背後には抗生物質の過剰使用がある.抗生物質の服用によって攪乱され失われていくヒト常在菌叢(マイクロバイオータ).万能の薬はいまや効力を失い,私たちは「ポスト抗生物質時代」に突入しつつある.最新の科学的知見をもとに,その逆説の意味を問う.
https://www.iwanami.co.jp/book/b309292.html


【目次】
プロローグ――抗生物質がなくて亡くなった祖父母、抗生物質耐性菌のために亡くなった祖母 

第1章 抗生物質の光と影 
  二人の患者――エピソード1  ペニシリンの発見  劇的な効果  抗生物質が効く仕組み  コモンズの悲劇  耐性菌の登場  進化の安定戦略が教えてくれるもう一つの重要なこと  急増する肥満は現代の疫病か  アレルギー  糖尿病  現代の疫病
【コラム】碧素一号の完成 

第2章 微生物の惑星 
  レーウェンフックの見たもの――エピソード2  微生物の惑星  ウーズの分類体系  微生物がつくるネットワーク
【コラム】失われた光の輝き 

第3章 マイクロバイオームの世界 
  「ヒトゲノム計画」の完成がもたらした衝撃――エピソード3  キメラとしての「私」  マイクロバイオームとは  ヒト・マイクロバイオータとマイクロバイオームの世界  共生細菌と私たちの免疫系  窒素を固定する腸内細菌
【コラム】水と石炭と空気からパンを作る方法

第4章 抗生物質が体内の生態系に引き起こすこと 
  腸内細菌の移植実験――エピソード4  家畜への使用と巨大化  マーティン・ブレイザーの実験  ヒトの身長と体内衛生環境仮説  旧石器時代後期にもヒトの身長は低下していた  体内衛生環境仮説とベルクマンの法則に関する一私見  ポスト抗生物質時代の疫病をとりまく謎  子ども時代の影響  オランダの飢餓の冬
【コラム】過去にも肥満は存在した 

第5章 腸内細菌の伝達と帝王切開 
  ゼンメルワイスの悲劇――エピソード5  帝王切開で救われた命  帝王切開は、近代医学の福音だった  行きすぎた近代医学の応用  母から子へ受け継がれるもの、それを阻害するもの  エイヴォン親子長期研究  感染症と母乳と免疫と常在細菌

第6章 未来の医療 
  コッホの実験――エピソード6  菌の不在から始まる病気――新しい医学  抗生物質の冬  抗生物質使用のジレンマ  失われたものの大きさ  「人間(ヒト)中心主義」とそれに対する批判

エピローグ――世界の腸内細菌を探しに 

あとがき 
参考文献 

読書状況:読みたい 公開設定:公開
カテゴリ:  分類保留
感想投稿日 : 2020年3月2日
本棚登録日 : 2020年3月2日

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