イスラム報道 増補版

  • みすず書房 (2003年4月1日発売)
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『イスラム報道[増補版]』
原題:COVERING ISLAM: How the Media and the Experts Determine How We See the Rest of the World (1981➡1997).
著者 Edward W. Said (1935-2003)
訳者 浅井信雄
訳者 佐藤成文
訳者 岡 真理

【書誌情報+内容説明】
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/300頁
定価 3,024円(本体2,800円)
ISBN 4-622-07032-4 C1030
2003年4月1日発行

「私は、ムスリムがイスラームの名によってイスラエル人や西洋人を攻撃したり傷つけたりしたことがない、などと言っているのではない。私が語っているのは、人がイスラームについてメディアを通して読んだり見たりすることのほとんどが、侵略行為はイスラームに由来するものであり、なぜなら〈イスラーム〉とはそういうものだからだと表象されている、ということである。その結果、現地の具体的なさまざまな状況は忘却される。言い換えれば、イスラームについて報道するということは、〈我々〉が何をしているかを曖昧にする一方で、このように欠陥だらけのムスリムやアラブ人とは何者であるかに脚光を当てる一面的な活動なのである」

 『オリエンタリズム』の著者が、西洋(=アメリカ)のメディアに現れるフィクションとしての「イスラム」を描き、アクチュアルな問題を本書を通して世に問うたのは、1981年のことだった。そして現在、この傾向はますます振幅をきわめ、CNNを中心に放映されるイスラムの映像は、無批判のかたちで日本のテレビでも流され、あご髭のムスリム=テロリストという表象は、われわれの脳裏に刻まれている。
 本書は、原著刊行16年後に出た新版に著者が寄せた50頁を超える序文を加えた増補版である。『戦争とプロパガンダ』シリーズともども、現代世界を考えるための必読書になるだろう。
https://www.msz.co.jp/book/detail/07032.html

【メモ】
・日本語訳された本のバージョン。
旧版(1986年)➡〈みすずライブラリー〉版(1996年)➡増補版(2003年)➡復刊(2018年12月)

・新しい方の序文は実質51頁もある。古い方は26頁。

【目次】
献辞 [i]
目次 [iii-iv]
ヴィンティッジ版への序文(E・W・サイード 一九九六年十月三十一日 ニューヨークにて) [v-lvi]
序文(一九八一年二月九日 ニューヨークにて E・W・S) [001-026]

第一章 ニュースとしてのイスラム 027
1 イスラムと西洋世界
2 解釈の社会集団
3 「王女」エピソードの背景

第二章 イラン報道 103
1 聖なる戦い
2 イラン喪失
3 未検証の隠された仮説
4 もうひとつの別の国

第三章 知識と権力 159
1 イスラム解釈の政治学:正統的知識とアンチテーゼ的知識
2 知識と解釈

注 [203-213]
イラン略年表 [214]
訳者あとがき(一九八六年十月 浅井信雄) [215-220]
増補版への付記(二〇〇三年二月 浅井信雄) [221-222]
索引 [i-xii]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 36X.現代社会の問題
感想投稿日 : 2018年11月4日
読了日 : 2018年11月13日
本棚登録日 : 2013年9月8日

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