利己的な遺伝子 40周年記念版

  • 紀伊國屋書店 (2018年2月15日発売)
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感想 : 84
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このタイトルはおおいに誤解を与えかねない。遺伝子が利己的というのは大前提なのだが、それはあくまで遺伝子にとっての利己性であって、我々の身勝手さを助長するものではないからだ。読んでいて、それほど自分の命に執着する必要もないのかな、個人にとっての人生なんてそんなに重いものでもないのかなと思えてきて少し楽な気分になった。

遺伝子は生存機械に対して行動を束縛するわけではなく、
我々が今話題にしているAIのようなものだと思われる。
ただ、生存機械の各機能を制御する遺伝子は、遺伝子群として連携することで目的を達成する。そのため我々が「~のための遺伝子」というときそれは単一の遺伝子を指すのではなく複数の遺伝子の連携としてあらわされる。ここに遺伝子の生存機械への関与の複雑さがあり、現在のAIはこの複雑さを克服しなければならないのではないかと思われる。

遺伝子は試行錯誤しながら、みずからのコピーを増やそうとしてきたわけだが、試行錯誤そのものは非効率である。その非効率性を打開するために、我々は意識を得て未来をシミュレートする力を得たのではないかとの説には、はっとさせられるものがあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生物
感想投稿日 : 2019年1月29日
読了日 : 2019年1月29日
本棚登録日 : 2018年12月31日

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