サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う

著者 :
  • 小学館 (2018年10月11日発売)
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感想 : 104
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話題になった当時に読めばよかった。
今となってはタイトル周辺のことを頭に入れて読んでしまうので、衝撃はマイルドだ。

とはいえ、なかなか強烈な話。
ヤクザと密漁について、潜入レポもある体当たりのノンフィクション。
それにしても、どの港も怖い。
ほぼ昔話に徹していた銚子が一番面白かった。
北海道の根室と北方領土、ロシアスパイとの付き合いの話も凄かった。

浜のものは気が荒い、というのはよく聞く話で、そういう人たちの一部がそもそもヤクザ的な要素を多分に持ち合わせていたわけで。
今も昔も、海はスネに傷あるものが過去を捨ててヒトヤマ当てるところとして、狙われる場所だろうし。
天気稼業、自然状況に依存、そこへ来て当たり外れの大きな売り上げのサカナがいくつも生まれてしまった。
水産庁とか、役所とか、お上の性質がこの状況を生んだのは間違いない。
警察や海保との冷や汗の関係も、本当の漁師、グレーの漁師、ヤクザ、それを知ってて知らぬ顔で扱う業者たち。
どこからクロとも言えない世界に背筋が冷たくなる。

毎日食べるサカナの下にこんな世界があること、それを生んだ最大の責任者は、メディアに踊らせれて食べている私たちであることを忘れてはならない。ってわけで。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年9月29日
読了日 : 2023年9月29日
本棚登録日 : 2023年9月29日

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