全一冊 小説 立花宗茂 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2006年12月15日発売)
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感想 : 20
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戦国の末期、どんなに社会状況や自分の立ち位置が変化しようとも、武士としての義理や誠といった美風を守り、貫き通した立花宗茂の人生がつまった歴史小説。

仕え先が、大友家、豊臣家、徳川家と変化した。世渡り上手な戦略家にも見えるが、その変遷の中に宗茂なりの変わらない原理や信念が通底しており、その決断や行動には一種の清涼感を感じさせる。
本田忠勝と並び称され西国一とも呼び声高い一騎当千の武将である宗茂。しかし、本書では戦闘シーンで見せる姿よりも、九州から見れば遠く異国の地である東北棚倉藩に着任した後、ここに骨を埋める覚悟で、民と生きようと家臣に呼びかける民政者としての姿にこの小説の本質を見た。この姿に、健気に主君を支える家臣や田畑とともに生きる民への愛を感じた。
たとえ無職、無一文となろうと、そばで支えようとする家臣や路傍で頭を下げ旧領主の帰還を出迎える民の姿に一艘の立花宗茂丸のような強いワンチームとしての絆を感じた。

自身も職場のリーダーとして、立花宗茂のように愛と信念を持ち、職場を強固で一丸となったチームに導きたいと思いました。愛と信念に揺らいだ時、権謀術数の世にひと時の清涼感を感じたい時、読み返したい本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2022年7月19日
読了日 : 2022年7月18日
本棚登録日 : 2022年7月18日

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