ギャンブルの描写が、ギャンブルを知っているからこそ書けるというものでした。主人公が後半に大勝負するところも含めて、ギャンブルにはいろいろな面があり、いろいろな局面をつくり、いろいろと作用することがよく描かれていると思った。そして、その魔性についても。このギャンブルの描写はちょうど良い距離感なんでしょうね。もっと深く、微に入り細を穿って描けそうな気もするのだけれど、そうなると個人的すぎて、ギャンブルとしてはひとつの断片的性格が強くなりそう。『賭博者』の極端なギャンブルの例たちが合わさって、ひとつの全体性みたいなものが感じられるようになっている。ギャンブルそのものについては、そう。ぼくもね、けっこう競馬とパチンコではあるけれどぐぐっとギャンブルに両足を突っ込んだことのあるひとだから、その点でこういう『賭博者』を書く作者(ドストエフスキー)のギャンブルについての知識というか、どれだけわかっているのかを値踏みするように読もうとしてしまうところがあります。さてさて、賭博の成功体験をもつ主人公はどうなってくのか。重要な脇役からの辛辣な「見抜き」で締めくくられています。そうなんです、ギャンブルにハマるとはそういうことなんです…。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年8月16日
- 読了日 : 2017年8月16日
- 本棚登録日 : 2017年8月16日
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