ままならないから私とあなた

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年4月11日発売)
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感想 : 270
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合理主義な私は限りなく薫ちゃんに近いタイプの人間で、だから、ユッコタイプの人が圧倒的に多い世の中を生きる薫ちゃんの苦労も、痛いほど共感できた。
だからこそ、ラストでユッコが昔から感じていたことを伝えた時(きっと万人が肯定するであろう具体的事例含めて)、薫ちゃんが重ねるように真っ当な反論をしてくれたことが、少数派の私としてはすごくスッキリしたし救われた気持ちになった。
ただ一点、薫ちゃんは最初からずっと勘違いしてたんじゃないかなと思う。
ユッコは、ひかるちゃんが奏でるような曲を生み出せるアーティストになりたかったわけではなく、ひかるちゃんのように、自分にしか奏でることができない曲を作れるアーティストになりたかったはず。
前者と後者は似ているようで全く違う。そこを捉え違えるほどまでサイコパスに振り切っていたからこそ、薫ちゃんは真の天才なのかもしれない。
いずれにしてもこんなに価値観の違う二人が(だからこそなのか?)お互い折れることなく親友てあり続けていることがなにより素晴らしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年2月8日
読了日 : 2022年8月7日
本棚登録日 : 2022年2月6日

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