最近話題の韓国文学。
本屋大賞1位受賞作ということで読んでみた。
あらすじとしては、喜怒哀楽の感情を持たない少年が、ゴニ、ドラという二人の少年少女と触れ合う中で、少しずつ自分の中に芽生える感情というものの存在に気づいていくというお話。
◆印象的だった場面
・おばあちゃんが命懸けで僕を守った場面
・僕の中の感情を呼び起こす為に、ゴニが蝶の羽根をむしる場面
・ドラへの恋心に苦しむ場面
◆特に素敵だと思った文章
・みんな違うのだから、僕のように“普通とは言えない反応〟も、誰かにとっては正解になるかもしれない。
・外を歩くときはいつも、母さんが僕の手をぎゅっと握っていたことを覚えている。…。
私たちは家族だから、手を繋いで歩かなくちゃいけないんだと反対側の手は、ばあちゃんに握られていた。僕は、誰からも捨てられたことがない。僕の頭は出来損ないだったかもしれないけれど、魂まで荒んでしまわなかったのは、両側から僕の手を握る、二つの手のぬくもりのおかげだった 。
・遠ければ遠いでできることはないと言って背を向け、近ければ近いで恐怖と不安があまりにも大きいと言って誰も立ち上がらなかった。ほとんどの人が、感じても行動せず、共感すると言いながら簡単に忘れた。感じる、共感すると言うけれど、僕が思うに、それは本物ではなかった。僕はそんなふうに生きたくはなかった。
喜怒哀楽の感情の豊かさ≒感受性の豊かさとも言えると思うが、この感度が高すぎても、人生疲れる。ゴニが僕に対して抱いた、感情に揺さぶられないことが羨ましい、と感じる気持ちはとても共感できた。
別のミステリー作品と並行読みしたせいかもしれないが、後半でページを捲る欲が低下。最後ほぼ斜め読みになってしまった。苦しい中にも温かさのある作品だったが、個人的にはちょっと物足りなさのある作品でした。
- 感想投稿日 : 2023年11月7日
- 読了日 : 2023年11月7日
- 本棚登録日 : 2023年4月1日
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