ままならないから私とあなた (文春文庫 あ 68-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2019年4月10日発売)
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本棚登録 : 5023
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2人は親友だった。しかし、合理的を追求する薫と、非合理的な部分にこそ本当に重要なものがあると信じる雪子は、徐々にすれ違っていく。

この物語のキモは、どちらかを肯定するわけでも否定するわけでもなく、2人の心の中の2つの価値観が、ただそこに"存在している"、それ以上でもそれ以下でもないのだと伝えてくること。私はこれに、激しい共感を覚えた。

誰が間違ってるとか、そんなことはどうでも良く。結局自分は、自分の納得する価値観に沿って生きていき、そこに責任を持つ、ただそれだけなのだ。

しかし、ひとつの価値観に縛られる生き方を私は望まない。そのために、「価値観の異なる小さな世界」を大切にしていこうと思った。

「私は、自分はきっと目の前の男を採用するだろうと思った。そうすることで、価値観が異なる小さな世界が身の回りにまたひとつ増え、他ならぬ自分が、変わりゆく世界の一部に馴染んで行くのだろうと感じた。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月28日
読了日 : 2023年8月18日
本棚登録日 : 2023年8月19日

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