『神に守られた島』の続編にあたる。
終戦から七年。
アメリカ軍の占領下に置かれた沖永良部島は、本土に行くには密航をするほかなく、物資も教育も足りず苦しい生活を送っている。
女子高生になったカミは、本土復帰運動が高まる島の中で、本当のことは何か、を模索する。
作中で、本土の人間は沖縄や奄美諸島の実情を何も知らない、というくだりが出てくるのだけれど、実際に自分も、沖縄が長くアメリカ軍の領土となっていたことは史実として知っていても、その生活が貧しく厳しく、衣服を作るための布もないので払い下げの軍用品の衣類をほどいて自身の衣料品を作っていた、という話などはまるで知らなかった。
知らないことは、なかったことになる。
それでいいのか、とカミは考える。
誰かが大きな声で号令をかければ、みな、深く考えずその方向をむく。騙されたとしても「仕方ない」と諦め、過去を振り返って謝罪することも、考え直すこともしない。
カミがぼんやりと感じる違和感は、現代の社会に通じるものもあって、ふと考えさせられる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
なにか考えたくなる
- 感想投稿日 : 2019年3月31日
- 読了日 : 2019年3月31日
- 本棚登録日 : 2019年3月31日
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