ディアスポラ。シリア難民の人たちについて書かれているようだと思った。自国語を失なう思いをアゴタ・クリストフは色んな書きかたをした。悪童日記、ふたりの証拠、第三の嘘の三部作と似ているけれど、この作品は哀しみや孤独感が心理描写で書かれている。主人公のトビアスは結局血をわけた家族を失って、最後には自分の子供を持つことになったけれど、リーヌには自分が兄だということを伝えなかった。それはやはりリーヌを妹として愛していたからだと思う。自国へ戻っていくリーヌと、外の世界に残るトビアスはあわせ鏡みたいなものだと思う。決して重なりあうことはなく、でも血をわけたひと。双子とは違う書き方で面白いと思った。また読み返す本になるかも。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年3月17日
- 読了日 : 2016年3月17日
- 本棚登録日 : 2016年3月12日
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