伊吹さん初読み。
率直に、この本に出会えて良かったと思える本でした。
こんな風に思える本にたまに出会えるから、忙しくても読書はやめられない!
昭和初期のあの時代、ひとりの少女・波津子の仕事だったり友情だったり淡い恋だったりをする等身大の姿が数年ごとに描かれます。
貧しい日々の中で「乙女の友」という雑誌に心躍らされた少女時代。
やがてその出版社で働くことになった波津子は、いろいろな人と出会い、別れを経て、喜びも苦しみも迷いもすべてを糧にしながら成長していきます。
途中まではお仕事小説の側面が強いのかな?と思ってましたが、ラストまで読むと…いやこれはもうめっちゃ恋愛小説でもあった!
戦地で見つかった二人だけの暗号の描写には、心にぐっと込み上げてくるものがありました。
戦後80年近くたつ現在となっては戦争はすごく特殊な状況のように感じられるけど、当時の人たちにとっては日常と紙一重のところにあったんですよね。
当たり前の日々が、みんなが大切にしているものが、どんどん蝕まれていく描写は読み進めるのが辛かったけど、それでも本当に最後まで読んで良かった。
もちろん辛い描写ばかりでなく、言葉遣いやファッション、想像してみるだけで心ときめく可愛い付録や雑貨など、当時の空気がリアルに吸えるような描写が読んでいてすごく楽しかったです。
じっくり大切に読みたいような、でも早く続きを読みたいような…そう思える貴重な本でした。
またいつでも読み返せるように、手もとに大切に置いておきたい一冊となりました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
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- 感想投稿日 : 2022年9月26日
- 読了日 : 2022年9月26日
- 本棚登録日 : 2022年9月26日
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コメント 2件
しずくさんのコメント
2022/11/21
mochimochiさんのコメント
2022/11/21