少年犯罪や罪や贖罪を得意とする作家さんならではの一冊。
大学生で20歳の籬翔太は、飲酒していたにも拘わらず、深夜の恋人からの呼び出しに、雨の中、車を運転し、ひき逃げを起こしてしまう。
飲酒、しかも信号無視をしたことから、その場から逃げ、救命措置も行わなかった為、被害者は亡くなってしまう。
後日、コンビニの防犯カメラから警察に逮捕される翔太だったが、最後まで信号無視をしたこと、そして人を引いてしまったことは告白しないまま、5年近くの懲役刑を受ける。
出所して25歳になった翔太は、自分の起こした事件のせいで自分の家族がバラバラになってしまったことを知るが、被害者遺族への謝罪の気持ちはなく、自分の貴重な20代の5年間を刑務所で過ごしたことを後悔しながら生きていた。
そんな翔太の前に現れた被害者の夫。89歳となり、認知症を患いながら、彼は翔太に何をしたかったのか?
正直、主人公である翔太の考え方は自分勝手で、どこまで読んでいても腹が立つ。
なのに、周囲はみんな翔太に好意的で、どちらかと言うと違和感しか湧かない。
ただ、被害者の夫である法輪が最後に成し遂げたことについては、胸を打つ。
こういうラストであるのならば、それまでの話がもう少しいい話であれば、素直に良い話だったと言えるのだが、主人公の身勝手さが勝っているので、評価は低めで…
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
泣ける!
- 感想投稿日 : 2020年5月4日
- 読了日 : 2020年5月4日
- 本棚登録日 : 2020年4月25日
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