ドナルド・キーン氏の本を何冊か読み進める中で本書に出会いました。対談形式と言うこともあって、あっという間に読めます。日本文化をいくつかのテーマで扱っていて、司馬遼太郎氏がメインで議論をリードするときもあれば、キーン氏がメインで議論を進める場面もあります。常に同じ意見を持っているわけでもなく、例えば儒教が日本人に及ぼした影響については、司馬氏は小さいと結論づけている反面、キーン氏は極めて大きいと主張するなど、意見が対立してそれはそれで第三者の読者としては面白いです。
日本史および日本文学の知識が乏しい私でも、議論の論点とその展開は読んでいて興味深かったので、同じような読者の方々も心配いらないでしょう。例えば、色々な日本文学を男性的(=ますらおぶり)、女性的(=たおやめぶり)に分類した上で、実は日本人(日本語)は本質的に「たおやめぶり」ではないか、という論理展開や、豊臣秀吉や足利義満の時代のように日本が世界に開かれていた時は日本は「金の世界」で、足利義政や徳川幕府時代のようにどちらかというと閉ざしている時は日本が「銀の世界」になる、というような話は大変興味深かったです。むしろ本書は日本文学や日本史、宗教などの専門家が読むとかなり大胆な論説が書かれていてびっくりするのかもしれませんが、私はお二人の歯に衣着せぬトーンがとても気に入りました(私は○○が嫌いだ、というようなこともたくさん書いてある)。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年4月27日
- 読了日 : 2015年1月14日
- 本棚登録日 : 2023年4月26日
みんなの感想をみる