本書は、第一次世界大戦前後から1930年代までの日本を、外交・軍事・政治・経済・社会・文化の6つの視角から描写。当時の日本の再現を試みている。
最初はちょっと文章のリズムに馴染めない部分もあったが、まずは国際協調の時代としての第一次大戦後の世界が外交という大枠から描写され、次に軍事、政治とそれが規定する国内状況へと筆が進められていくうちに、100年前の日本の姿が見事に浮かび上がってくる。
経済の状況も「成金」という普通、あまり経済史家が正面から取り上げない事象や人物に多くページが割かれ、ユニークな叙述となっている(経済の章は成金論と高橋是清の話でほぼすべて)。「社会」「文化」の項目においても調査の時代という視角を前面に押し出したり、あるいは「平和記念東京博覧会」(1922)を当時の大衆文化状況の集約として取り上げるなど、著者の独自の視点が前面に出ている。
それでいて全体的にはバランスの良い叙述となっており、勉強になった。オススメ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2014年8月5日
- 読了日 : 2014年8月4日
- 本棚登録日 : 2014年7月13日
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