羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年11月16日発売)
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感想 : 832
5

上巻はあれだけ時間かかったのに下巻は一気読み!
あぁ三部作終わっちゃった…と今は寂しさが残る。
と共にようやく村上春樹さんの原点である鼠三部作を読み終えた喜びもあり。

しかしすごかった。前の二作品、そして上巻からは全く想像もしていなかった世界、そして展開だった。(いや、彼の作品はいつもか笑)

しかし登場人物の誰にも名前がないのにここまでハマっちゃうってすごいな、春樹さん。
名前ってかなり重要なポイントだと思うのに…ってその名前がないのも一つのこの作品の大事な要素でもあるのか。(あ、直子は出てきたか。ノルウェーと関係ある!?)

「羊」とはそういう事だったのか。全く想像していなかった。(いや、だからいつも)
ちょっぴりミステリーもファンタジーもフィロソフィーもメタファーも全部まるっと心地よく美しい文章に表現されていて、それでいてすごくリアル。やっぱり好きです村上さん。

むしろ今のこの世の中をまさに表しているような。「羊」というキーワード。

自分の頭では何も考えられなくて、そこら辺の誰かが言ってた言葉をまるで自分の意見だと信じ込み(グサっ…痛)、右向け右ってみんなが右向いたら何となく自分も右向いていて…頭の中は「羊」が入っているときのように空洞で「自分」なんてなくて(うっ…涙)。英語のスラングで「Sheeple」って言われてたりするやつ。

自分のことを稀にみる弱い人間だという鼠はむしろものすごく強い人に私には見える。「羊」に自分を奪われるくらいなら…って道連れにできる強さ。自分としっかり向き合い、その弱さを受け入れ愛せる強さ。ものすごく惹かれる。自分も鼠のようでありたいと思う。

鼠を失った僕…どこか人間的な何かが足りなかった僕。本当の喪失感を彼は初めて味わったように思う。彼はここから人間としてかなり成長することになるのだろう。

と、いつもながら村上春樹さんの作品のレビューはいつも以上に支離滅裂で書いてて恥ずかしい笑 
まるでわかってなくて見当違いの事を書いているようで、感想なんて書けるかー!ってなりながらも、読み終わった直後の素直な感想を残してみる…

とにかく今回も村上春樹ワールドを思う存分堪能しました。また読み返したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月21日
読了日 : 2024年2月20日
本棚登録日 : 2023年11月19日

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