麒麟の翼

著者 :
  • 講談社 (2011年3月3日発売)
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日本橋中央の「麒麟像」前で倒れていた男。胸にはナイフが刺さっていた。数時間後、事件現場近くで被害者の財布を持った男が発見される。男は逃走中に車に撥ねられ意識不明の重体に…

お馴染み《加賀恭一郎シリーズ》第9弾。
被害者及び被疑者から直接情報が得られない状況の中、加賀持ち前の直感力と粘り強さで事実を積み重ねながら、徐々に真相に迫っていくプロットが面白い。被害者家族や被疑者近親者の葛藤する心理描写も交えつつの人間ドラマもリーダビリティ高く一気読み。
一方で、真相は無理矢理感が大きく、真相に繋がる伏線も不十分なので、謎解きの面白みに欠ける。終盤、加賀がある人物を糾弾するシーンこそが、著者が最も描きたかった主張かな。
前作「新参者」に引き続き日本橋が舞台で、加賀とコンビを組む松宮刑事との関係は「赤い指」で触れられているので、事前に読んでおくのがオススメ。
“東京都日本橋”と言えば、“ガリガリ山のパン屋さんとツネコサン…”くらいしかイメージが無かったが、「新参者」と本書を通じて歴史ある下町情緒溢れる街なんだろうなと想像を膨らませている。
“水天宮”に“人形町”、日本の道路の起点となる“日本道路元標”に“麒麟像”、いつか訪れてみたい場所だ。

週刊文春ミステリーベスト10 7位
このミステリーがすごい! 20位
ミステリが読みたい! 11位

《加賀恭一郎シリーズ》
1.卒業
2.眠りの森
3.どちらかが彼女を殺した
4.悪意
5.私が彼を殺した
6.嘘をもうひとつだけ
7.赤い指
8.新参者
9.麒麟の翼
10.祈りの幕が下りる時
11.希望の糸
12.あなたが誰かを殺した

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察小説
感想投稿日 : 2023年11月25日
読了日 : 2023年11月25日
本棚登録日 : 2023年11月25日

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