職業としての学問 (岩波文庫 白 209-5)

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時は第一次世界大戦後低迷のドイツ。青年たちは神が死んだ世界において自分の人生に惑い、自分のやるべきことを明確に示してくれるカリスマ的な指導者を欲していた。勿論、この講演を聞いている青年たちにとってウェーバーはカリスマ的な指導者だった。その青年たちの脆弱さ、困難な時代と向き合うことから逃げ出している風潮を厳しく非難し、情熱を持って日々のザッヘ(ここにおいては学問)に打ち込むことを叱咤激励する内容。
このように、カリスマ的な指導者に熱狂することなく自身の決断を大事にするように説く、優れた思想家の存在がありながらも、その死の直後からナチス・ドイツの台頭を合法的に許してしまった歴史がなんとも皮肉的。魔術から解放された時代という意味でも現代に通じるものがある古典。難解な内容だが、目先の話ではなく、ウェーバーが講演で青年たちに伝えたかったことをきちんと読解したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外小説
感想投稿日 : 2011年5月18日
読了日 : 2011年5月18日
本棚登録日 : 2011年5月18日

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