ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2004年8月30日発売)
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カエサルかっこよすぎる!!!

上巻では借金まみれの女たらし位の印象しかなかったのです。この中巻の40代前半ではポンペイウスとクラックスとの三頭政治そしてルッカ対談などもありますが、【ガリア戦役】で彼の能力が発揮されます。

後のスイス人となるヘルヴェティ族から始まり、ゲルマン族今のベルギーフランスであるガリア。
当時野蛮だったブリタニアには船を作ってドーバー海峡越えて遠征。ウィンストン・チャーチルをして「大英帝国の歴史はカエサルのブリタニア上陸によって始まった」と言わしめます。

できれば戦わずにまとめたい、戦うことになっても敗者に寛大、でも誓約を破った者には厳しい。

味方の扱いも素晴しい。このような状況ではネガティブになるもの当然です。

ガリア人から「ゲルマン人は恐ろしい」と聞かされ、兵士たちは弱腰になります。カエサルは作戦会議で演説。
それがまたたくまに宿営地のすみずみにまで伝わり、全兵士の士気が一変。
>第十軍団の兵士たちは自分たちの忠誠と義務感に信頼を置いてくれたことの礼を述べ、戦いに出向く準備は完了していると告げる。他の軍団も指揮官を送ってきたのは同じだが、彼らがカエサルに告げたのは陳謝で、以後二度と総司令官の戦略をひはんするようなことはしないと謝ってきたのだった。カエサルは彼らの陳謝を受け容れ、もと通りに部下として認めた。

またガリア戦役五年目で十五個大隊9千と軍団長二人損失した時も、先立つ課題は戦友の死で打撃を受けている兵士たちへの対策。
>カエサルは集められる兵士たちには自分の口から、集められない兵には各指揮官を通じて次のことを告げた。あの不幸は軍団長サビヌス個人の浅はかな判断によって起こったのだから、平常心を失わずに耐えるしかない。それも神々の助けと諸君の勇気によってすでに復讐は成ったのだ、と言ったのである。兵士たちは納得した。後を振り返らない性格の最高司令官に、一兵卒までが染まり始めていた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 塩野七生
感想投稿日 : 2018年2月24日
読了日 : 2011年5月27日
本棚登録日 : 2011年5月27日

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