産業革命、宗教革命期のヨーロッパ、それから影響を受けた他地域の記述。上巻で文明成立とその初期について語った時ほどの独自視点は無かったが、大局的な観点での説明はやはり冴えている。
個人的に認識を新たにした観点は、遅れてきた工業国が独裁的政権や帝国主義に奔った理由について。資源の面で先行工業国が先に占めていた土地に侵入せざるをえない状況だったという認識はあったが、余剰の人口を吐き出す先がなかったという考え方はしていなかった。工業化が数世代進めば自然と少子化傾向が高まってきて人口は安定するが、それまでは急激な人口増加により都市部の過密や失業者の増加が起きる。増加した人口を十分に「回す」には、材料となる資源を得て加工品を作らねばならない。資源を得なければならない、その理由として人余りがあったのか、と。
後半は年代が近いためか、こなれておらず、様々な学説を引っ張ってきてまとめて提示したという印象が残った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会科学・思想・文化
- 感想投稿日 : 2017年6月13日
- 読了日 : 2016年2月15日
- 本棚登録日 : 2016年5月7日
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