- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049673
作品紹介・あらすじ
世界の文明の流れをコンパクトにわかりやすくまとめた名著。人類の歴史を一貫した視座から眺め、その背景と脈絡を知ることで、歴史のダイナミズムを描き出す。西欧文明の興隆と変貌から、地球規模でのコスモポリタニズムまでを概説する。新しい歴史的出来事を加え改訂された最新版の完訳。地図・写真多数収録。年表・索引つき。
感想・レビュー・書評
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やっと読み終わった!
非常に読みづらい本だった。これはマクニールさんのせいではなく、私の準備のなさのせいである。
世界各地の大きな流れを追うのが大変で、いまいち見通せなかった。
けれども、著者が予言した問題は、ほぼ現実のものとなっているし、問題点もその通りだと感じるものが多かった。
もっと勉強した上で、読んだ方が良かったかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私のような、ものごとを勉強するときに全体を俯瞰してから進めたいタイプの人におすすめ。上下2冊で人類の起源から1900年代までを扱うので、(学校教育のように細かいことは扱わず)、文明間の関係や地域の盛衰、性質の違いを大きく捉えていくところがよい。
解説にも書いてあったが、これは一つの歴史の見方であり(原題も"A world history")、これを起点として各々の歴史観を持って議論が起こるようになってほしいというメッセージを感じる。
ただし、係り受けが難しかったりロジックを読み解くのが困難なところが多々あり、読むのに時間がかかる。これが原書のせいなのか翻訳時の問題なのかわからないのだが、そこだけが残念。 -
革新を模倣する形で取り入れ、その内容をその地域などが持つ伝統と融合することで、その地域固有の文明に昇華されていく。
これに対し、うまく融合させられた文明は生き残り、そうでない場合は崩壊していくことを繰り返し歴史が紡がれてきているという理解。融合した結果、表面的にしか移植しないケースも発生(日本における民主主義など)。社会や経済を変えることができる、実績として変えた経験を持つ西欧諸国と、変えた結果の制度などを輸入した日本では、根っこの部分が違うことはわかり切った話だが、日本がこれからその激動を経ることは、またいつものように急激な変化として外圧的に何かが発生した時だけだろうな、とも感じる。
また、近年の動きとしては地方部から都市部への人口の移動が大きなトピック。過去には見られなかった動きであり、更にそのうえで、都市部での出生率や役割の変化なども起きている。これが何を意味していたのか、予測の域は当然ながら出ることはなく、後世になって初めて意味が分かるだろう。
このスケールで物事を考えるクセを持っておくと、小さいことは気にしなくなるかもしれない、という精神的な処方箋にもなる気がした(宇宙が同じ事例)。一方で、その小さな積み重ねが大きな流れになることも、合わせて感じ取ることができた。文章で「取り入れた・学んだ」などとあるが、そのミクロの世界は凄絶な面も多々あったと思う。ましてや何かの外圧にさらされ、失敗したら文明が滅んでしまうという状況であればなおさら。とにかく、この後に歴史の諸事情を勉強すれば、入りやすいのは間違いない -
下巻では、近代と中世の分岐点とされる1500年以降の世界の歴史が語られていきます。西欧からの大航海時代の幕開けで、欧州が歴史の展開で主要な役割を果たすようになります。また中南米から流入した銀によよる価格の高騰による貨幣経済の拡大が、人々の価値観に大きな影響を与え始めたこと、栄養価の高いジャガイモやトウモロコシの栽培による人口の増大など、現代社会につながる社会環境の大きな変化が起こり始めます。
続いて1789年のフランス革命に始まる民主革命と、イギリスから始まる産業革命が、両輪として文明社会の発展を推進することとなったとマクニールは主張します。民主革命がメリトクラシーを促し、産業革命の恩恵としての時間的余裕から芸術、文化、技術革新が生まれる。こうして西欧文明が圧倒的地位をしめるようになる、と。
一方で、民主主義において国民の総意がえられれば、国家は依然より大きな人的資源を、徴兵制を通じて、動員できるようになるとも指摘しています。これは、民主主義がともすると全体主義につながる危険性を孕んでいることを示しています。
第二次世界大戦後に、数多くの国が民族自決主義のもと独立したこと。さらに、人口が爆発的に増加している事実。特に後者については、1850年からの100年間で世界人口は2倍、12億から25億人へ、そして2020年には77億人へと、この70年間で3倍へと膨れ上がっています。世界的な都市化の進展で、いずれは少子化を迎え世界人口が減少期に入るまでの間、環境への負荷を抑えつつ増え続ける人口を賄うための資源をどう効率よく使用していくのかが、喫緊の課題であることを改めて感じました。 -
上巻に比べて、既知の内容が増えた分理解できるところも増えたけど、やっぱり難しいです。
理由のひとつは、英語で書かれた物を日本語にしているということもあると思います。その中でも語順が違うということが大きいように思います。
もし日本が過去のどこかで植民地化されていて、英語を母国語のように使えていたら。この本をもっと楽に読めたのかなと思ったりもします。
上巻よりも、日本について書かれている部分が増えます。相変わらず例外の国です。
ただ、幕末あたりからの日本についてのマクニールさんのお言葉には、目頭が熱くなりました。
私も幕末は好きなんですが、こんなに世界を広く深く知っているマクニールさんにあのように語ってもらえると、本当にあの頃の日本人て立派だったんだなあと改めて思いました。
自分も同じ日本人として恥ずかしくない生き方をしていきたいと思いました。
この本はここで完結ですが、マクニールさんのエッセイが読めたらいいな。
その後の世界のいろいろな出来事について語ってほしいです。 -
二度の世界大戦を経て、西欧圏の経済的な地域統合の象徴であるEUから離脱という結果が出た先の英国の国民投票。この世界史の下巻は1500年から1999年、20世紀の終わりまでの概観なのですが、マクニール氏ならこの現状をどう見るのか、予測されたものなのかというところが読み終えて気になりました。
世界各地で勃興していた文明が、大航海時代が幕を開ける西暦1500年を境に西ヨーロッパが今までの均衡を破り、強烈な勢いで世界中に広がって行きます。さらに時代は18世紀後半の産業革命と西欧諸国の政府と国民が広範囲に及ぶ国内の再組織化を経験した民主革命により、19世紀中にはその優位性が益々高まっていきます。
近代から現代に至る過程は、評価が難しいだけに歴史の授業では、ちゃんと習った記憶がありません。教科書でも年代と出来事の羅列が殆どで、その流れや何故そうなったのか分からないままでしたが、この本を読むと目から鱗の如く理解できます。読み物のようにスラスラ読めるのが不思議ですが、筋が通って全体が見渡せるからなのかもしれません。
現代に至る地域紛争は民族・部族・宗教的反目が複雑に入り組んでいる中での大国の武器の供与があることやイスラム教における政治と宗教の結びつきの強さ、法典と世界経済の発展の事実の矛盾が引き起こすものなど、なるほどと思い読みました。地球規模の市場経済の拡大が既存の社会のパターンを捻じ曲げて行く先には、栄えるものと苦しむものとに分かれ収入の不平等が増大するさまがあり、貧しい国々は富と生活の向上に人口増加が追いつかないとあり、今まさにその事で、世界中が逼迫した局面に追われています。民族や宗教的対立からの紛争や内戦は古今東西絶え間のないものですが、移民が難しくなった現代では、シリアからの難民問題のように深刻な影響が周辺の国々に及びます。日本のことも所々記述があり興味深く読みました。徳川幕府を倒した後の維新に関わった日本人の対応について、‥西欧の優越に対して日本人ほど強力に対抗することのできた国民は他にいなかった…と絶賛されています。それに比較してイスラムの帝国はことに無力だったことが書かれており、現代に至る対立の構図が見てとれます。日本のように単一の民族が占める国家は、支配層と一般民衆が同一の民族なので、西欧からの圧力に対して一致団結して抵抗できたという有利な面があります。しかし、異民族で成り立っている国は、支配者が民族感情に訴えて抵抗するという手段は「期待するほうが無理だった」とありますから、古来ゲルマン民族の大移動に象徴されるような異民族との軋轢が生み出すものの大きさや統一の難しさに気がつきます。
過去の歴史から学ぶものは大きいのですが、マクニール氏が最後に述べているように、‥人間の計画的な行動により変化の道が広く開かれている未来には、すばらしい可能性とそれと同じくらいの恐ろしい破滅がひそんでいる、とあるのが現代を端的に物語っていて、地球の行く末が案じられるところなのでした -
上巻から数えると読み終えるのに10年ほどかかってしまった。
大きな世界史の流れが掴める良書だとは思うが、「西欧の優越」といった表現が多く、やや西欧至高主義を感じた。 -
歴史、かなりおもしろいのでは…?読んだ端から忘れ去ってるからなかなか覚えられないけど
大まかに知っておくと一つの国をピンポイントで見たい時にもこの時代周りはこんな事が起こってたな〜とか俯瞰して見られてとてもいい