世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

  • 中央公論新社 (2008年1月25日発売)
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下巻では、近代と中世の分岐点とされる1500年以降の世界の歴史が語られていきます。西欧からの大航海時代の幕開けで、欧州が歴史の展開で主要な役割を果たすようになります。また中南米から流入した銀によよる価格の高騰による貨幣経済の拡大が、人々の価値観に大きな影響を与え始めたこと、栄養価の高いジャガイモやトウモロコシの栽培による人口の増大など、現代社会につながる社会環境の大きな変化が起こり始めます。

続いて1789年のフランス革命に始まる民主革命と、イギリスから始まる産業革命が、両輪として文明社会の発展を推進することとなったとマクニールは主張します。民主革命がメリトクラシーを促し、産業革命の恩恵としての時間的余裕から芸術、文化、技術革新が生まれる。こうして西欧文明が圧倒的地位をしめるようになる、と。

一方で、民主主義において国民の総意がえられれば、国家は依然より大きな人的資源を、徴兵制を通じて、動員できるようになるとも指摘しています。これは、民主主義がともすると全体主義につながる危険性を孕んでいることを示しています。

第二次世界大戦後に、数多くの国が民族自決主義のもと独立したこと。さらに、人口が爆発的に増加している事実。特に後者については、1850年からの100年間で世界人口は2倍、12億から25億人へ、そして2020年には77億人へと、この70年間で3倍へと膨れ上がっています。世界的な都市化の進展で、いずれは少子化を迎え世界人口が減少期に入るまでの間、環境への負荷を抑えつつ増え続ける人口を賄うための資源をどう効率よく使用していくのかが、喫緊の課題であることを改めて感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・政治・地政学
感想投稿日 : 2020年5月4日
読了日 : 2020年5月5日
本棚登録日 : 2020年5月4日

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