九十八歳。戦いやまず日は暮れず

著者 :
  • 小学館 (2021年8月6日発売)
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感想 : 47
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「これでおしまい 我が老後」を67歳の時に書いてから、
「なんでこうなるの」
「だからこうなるの」
77歳「そして、こうなった」で、終わりにするつもりだったが、

「それからどうなる」
82歳「まだ生きている」と、続く。

ここで随分と長い老後だと感じ、もうやめるはずが85歳でまた書き出し、

「九十歳。何がめでたい」がベストセラーになる。

この「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」で断筆する決心をした。
断筆するにも、もっともらしい理由付けをしており、佐藤愛子さんらしさは最後まで失われていない。


老いてからの長い歳月を前向きに過ごすにはどうすればいいか。
そのコツをという質問のコメントを求められた佐藤愛子さん。
「前向きもヘッタクレもあるか!」というのが本音だがそうは答えられない。

目も耳も心臓も悪いし、血圧は高いし腰はヘナヘナ。
ただ声は大きくよくしゃべる「口だけ達者」なので元気そうに見えるだけだ。
老後のありようは「前向き」などではない。
成り行きにまかせ、死ぬ時がくるのを「待つともなしに待っている」という境地が理想である。

という佐藤愛子さんの最後のエッセイに本当になりそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2021年10月1日
読了日 : 2021年10月1日
本棚登録日 : 2021年9月7日

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