つむじ風食堂と僕 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年8月7日発売)
3.84
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本棚登録 : 1714
感想 : 172
4

どちらを先に読むべきか迷ったのだが、
あとがきに「レインコートを着た犬」を執筆中とあったので、読む順番は本書が先で良かったのかと思う。

ちくまプリマー新書の表紙の絵は、全てクラフト・エヴィング商會が描いている。
そんな縁もあって、200冊目(本書)を吉田篤弘さんが書くことになったようだ。
月舟町シリーズの最後に読む予定の「物語のあるところ ――月舟町ダイアローグ」もちくまプリマー新書で、なんと400冊目だった。
となると、300冊目も気になりますよね。これも吉田篤弘さんで「雲と鉛筆」という作品でした。
100冊目も無視できず調べたら、これは、赤木かん子さんの「今こそ読みたい児童文学100」でした。

月舟町三部作の「つむじ風食堂の夜」と「それからはスープ…」の登場人物が総出演の本作品は、リツ君が大人たちに仕事のことを聞く話。

文房具屋も肉屋もどの人も自分の仕事に誇りを持っていて、自慢するようにリツ君に仕事の話をする。

大昔は何でも一人でやっていた。
家や家具を作り、食器や服も作り、魚を獲り、鳥や獣を捕まえて、料理もして…
生きていくためには、やらざるを得なかったのだ。
だが、人がたくさん集まって来ると、役割分担することを思いついた。
魚を獲る人、パンを焼く人、服を作る人、畑で野菜をつくる人。

やることは沢山あるから、きっと自分に合っていることが見つかるはずだ。
何かをやるのなら、自分が好きで得意なことがいい。
いや、自分の好きな事だけして暮らしていけるなんて世の中そんなに甘くない。

いろんな意見があり、いろんなヒントがある。
この本を読んだ子供たちは、大人たちの会話の中から自分に合っていそうなことを探し出すのだろう。

途中から始まった物語は、途中で終わるのがちょうどいい---。でこの物語は終わる。

吉田篤弘さんの作品はいつでも日常の一コマみたいな様子を切り取っている感じだ。
喜怒哀楽を感じることなく、プツリと終わる。
読んでいる間にいろいろと考え、なにか1つでも記憶に残ったらそれでいいのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: *吉田篤弘
感想投稿日 : 2023年4月15日
読了日 : 2023年4月15日
本棚登録日 : 2023年1月9日

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コメント 1件

ぐっちょんさんのコメント
2024/03/02

プツンと終わる感じ。
余韻と余白。
いいですよね〜

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