最初はちょっと展開が遅いような、ちょっと読みづらい感じもしたのだけれど、だんだん乗ってきて、ロンドンが舞台になるあたりから、とくに後半はすごく引き込まれて読んで、おもしろかった。
ほんの一行に大切なことがさらっと書かれていたりして、読み逃していないか、読み終わって心配になるほど。長い、って感想も多いけど、わたしはもっともっとみっちり書いてくれてもいいんじゃないかって思うことも多かったくらい。フローレンスとかマーカスとかアーシュラの話とか。主人公グレイス自身のリヴァトン館を出てからの人生とかまで。
各場面ももっとこってり書いてあってもいいくらい。ロビーとハンナのロンドンでのロマンスのシーンが好きで、あれくらいどの場面もたっぷりあっていいのになーと。
ハンナの、思うようにならなかった、できなかった人生を思うとすごく悲しい。自由に人生を謳歌するはずだったのに、そういう生き方に意識的だったはずなのに、どうして……と思って。
そして、グレイスも結局、その後の長い人生で幸せを感じることはあっただろうか、とか。
なんだか人生についてまで考えさせられた。
そして、最後、ハンナが速記で手紙を書いたってことは、結局、ひきとめてほしかったっていうことなんだろうか?
それと、読みながら、すごく水村美苗の「本格小説」を思い出していた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年5月24日
- 読了日 : 2012年5月23日
- 本棚登録日 : 2012年5月24日
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