スリーピング・ドール 下 (文春文庫 テ 11-20)

  • 文藝春秋 (2011年11月10日発売)
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感想 : 54
5

この作品の何がすごいって、プロローグが終わったと思ったら、いきなり『羊たちの沈黙』を思わせるような凶悪犯との息詰まる尋問シーンが始まり、ハリウッド顔負けの爆破シーンや逃走シーンが入るってところだと思う。

 しかも、それを50ページで収めてしまう……。そんな出だしをやられたら、引き込まれずにいられないじゃない……。

 そこからは、もう安心のディーヴァーブランド! 裏の裏を読み合う心理戦に、緊迫の追走劇。凶悪犯の目的や協力者の正体にどう迫っていくか、と読ませるツボをこれでもかと突いてくる。

 それでいて、登場人物の個性やキャラも立たせているのは、さすがディーヴァー!

 キャサリン・ダンスをはじめとした警察側の面々や、ダンスの家族の個性はもちろんなのですが、凶悪犯ペルが、どのように協力者を支配下に置いていくか。その辺のやり口もリアルで、これがさらにペルの個性を際立たせる。

 さらに過去や現在のペルの協力者の女性たちの描写もリアル。ペルの事件を取材するジャーナリストや、過去ペルに一家を殺害された女の子、それぞれを単に物語の駒にするだけじゃなく、きちんと成長や変化を描いているっていうのがすごい!

 そして、物語が核心に迫っていくたびに、次々と明らかになる真実と、ディーヴァーが仕掛けた罠とどんでん返しの数々! やっぱりディーヴァー作品は面白い!

 サスペンスとして読ませるのはもちろんのこと、キャラの魅力でも読ませるディーヴァーは、やっぱり当代きってのエンタメ作家なんだろうなあ、と思います。

2009年版このミステリーがすごい! 海外部門5位

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー・サスペンス
感想投稿日 : 2019年9月29日
読了日 : 2019年9月16日
本棚登録日 : 2019年9月16日

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