犯罪

  • 東京創元社 (2011年6月11日発売)
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本棚登録 : 1851
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弁護士である筆者が実際の事件から構想を得た短編を11編収録。

無駄をそぎ落とした事実だけを伝える淡々とした語り口と訳の巧さがあって、思った以上に読みやすかったです。一編一編も20ページ以内で収められていて気軽な気持ちでも読むことができました。

どの短編でも罪を犯した人たちが出てくるわけですが、その多種多様具合も面白いです。さまざまな悪人たちが事件裏で攻防を繰り広げる『タナタ氏の茶碗』

皮肉な結末とラストの引用が突き刺さる『チェロ』

世にも奇妙な話で出てきそうな何とも不思議な犯罪者の話『棘』

そんな中でも最も印象的だったのは最終話の『エチオピアの男』
どん底の生活を続けていた男が銀行強盗を犯してからの半生が語られる話なのですが、収まるところに収まったいい話でした。

筆者の犯罪者に対する目線にどこか不思議な温かさが感じられたのもこの本がよかったと思える理由の一つかもしれません。

2012年版このミステリーがすごい!2位

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー・サスペンス
感想投稿日 : 2012年8月30日
読了日 : 2012年8月29日
本棚登録日 : 2012年8月27日

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