夏草の記憶 (文春文庫 ク 6-9)

  • 文藝春秋 (1999年9月1日発売)
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本棚登録 : 291
感想 : 31
4

ミステリーと言えるだろうが、青春犯罪小説と言いたい。

恋愛小説より美しい書き方はしていないが、十代の恋する少年の心理がこまやかに書いてある。

初恋の狂おしさと喜び、失った怒りと虚しさが鮮烈。

童貞であることを恥ずかしく思ったり、好きな女の子のピンチを救って惚れさせようとか、将来結婚する未来を妄想したりと、初恋に狂う少年の心理は日米共通だ。

主人公のささやかな悪意がきっかけになって、クラスメートたちを三十年後も苦しめていると思いこんでいるのだが、その真相は明らかにならない。

ケリーが植物状態で生きているとわかって、いっそうクラスメートたちの人生の重苦しさがのしかかってきたような気がした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 欧米ミステリー
感想投稿日 : 2013年4月17日
読了日 : 2013年4月17日
本棚登録日 : 2013年4月9日

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