数年前にテレビ時代劇、「水戸黄門」が最終回を迎えた。これで時代劇のレギュラーテレビ番組は全滅した。かつて「銭形平次」、「遠山の金さん」、「大岡越前」、「暴れん坊将軍」などテレビ欄を占めたこともあった時代劇は滅びつつある。なぜそんな状況になったのか。著者の分析によれば、視聴者側と製作者側の問題がある。
視聴者側の問題とすれば、近年になってテレビ視聴率が年代別に算出されるようになったことだ。時代劇はそれなりの視聴率を取っていたが、その視聴者は50代以上であることが数字上はっきりしてしまった。企業は、お金を使いたがらない高齢者しか見ないテレビ番組には提供したがらない。スポンサーがつかない番組が消えていくのは必然だ。
そして、製作者側。著者いわく、時代劇とは一種のファンタジーであり、時代考証はほどほどにして悪い奴を正義がやっつける。そんな単純な展開が観る側に爽快感や感動を与えるのだ。それは、テレビ時代劇もクロサワや勝新の映画もそうだ。しかし、今はリアリティーにこだわり、当時の社会を忠実に再現し、悪役の都合までも描いてしまう。「正義は勝つ」ことにこだわらなくなった時代劇は、それだけを望むファンも失ってしまった。
と、冷静な分析をする著者だが、時代劇愛があふれるあまり、実名で俳優や監督、作品を貶しまくってるのもご愛嬌か。岸谷五朗に対しては、相当お怒りのようだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
雑学
- 感想投稿日 : 2014年11月21日
- 読了日 : 2014年11月21日
- 本棚登録日 : 2014年11月21日
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