不思議なお話。「奈良」が少し怖くなる。始まりは鹿を殺した少年が自分の罪に逃げ場を失い、幼い頃死んだ母に救いを求める話かと思ったが、そう単純なものでもないようで、母と子の業、奈良という土地の持つ歴史の業、それが大人のファンタジーとなっているのか。始まりの12歳の少年モリオとそのモリオが2歳のとき死んでしまった母。母と子は様々な時代にその姿を変えながら未来の記憶を持って存在する。キンギョ丸とアコウ、アイゴとイタチ、鹿とおそらく義経に捨てられた少女、アイミツ丸と母トラン。母を求める少年と、子を思う母の姿は普遍ということなのか。奈良の大仏を破壊しなければならなかったのはなぜか、そして結末の大仏は何の意味なのか、良くわからない。ただ、古典や猿楽、そういった知識があればもっと理解できるのかもしれない。全体に漂う雰囲気は好きなのだが・・・
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
忘れん某の読書録
- 感想投稿日 : 2007年10月7日
- 読了日 : 2007年10月7日
- 本棚登録日 : 2007年10月7日
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