ポピュリズムに対し、歴史的・政治学的な観点から切り込む。成立の経緯(左右の既成政党から蔑ろにされてきた低所得者のニーズを掴んだことなど)や肯定的な側面(改革促進、安全弁機能、脱反ユ・脱民族主義、リベラルな価値・民主主義的手法の尊重)がよく分かる。欧州のポピュリズムでは、基本的に反イスラム(自由民主主義にそぐわないとされる)、反移民、反EUという形を取る。その意味では従来の極右(ネオナチ、反ユ、民族主義)とは異なる。
なお、ポピュリズムの否定的な側面や、自由・民主主義と排外主義の結合により生じる内在的矛盾に対する叙述は少な目。メディアでしばしば紹介されるから、その部分は重視しなかったということか(?)
具体例は、南米の古典的なポピュリズム(アルゼンチンのペロンなど)から始まり、現代の
墺(ハイダー、自由党)
仏(ルペン、国民戦線)
独(ペトリ、ドイツのための選択肢)
英(ファラージ、イギリス独立党)
ベルギー(デウィンテル、フラームス・ブロック)
オランダ(フォルタイン、フォルタイン党→ウィルダース、自由党)
デンマーク(ケアスゴー、国民党)
スイス(ブロッハー、フライジンガー、スイス国民党)
に加え、トランプや維新にも触れられており充実している。ベルルスコーニやドゥテルテには殆ど頁が割かれていない。ボルソナロは、出版時期の方が古いため当然言及なし。東欧についても言及がない。
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- 感想投稿日 : 2021年1月31日
- 読了日 : 2021年1月31日
- 本棚登録日 : 2021年1月2日
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