書店員さんに、「在庫があるみたいなのに、棚にないんですけど…」と尋ねると、「棚替えしようと思ってまして」と出てきました。返品寸前だったのかも(笑)。書評で見たときには気にならなかったのですが、表紙が『ジェイン・オースティンの読書会』に似てないこともない!楽しい偶然の一致ですね。
著者による序文がかしこまりつつも可笑しい!14歳のスチュアート少年が、持ち前のリスト癖・コンプリート癖を増幅させながら文学の深みにずぶずぶとハマりこんでいく様子が、知的で軽やかに描かれていて、もうこれだけでもいい、って思ってしまう〜。ヨーロッパ文学史上のビッグネームの「未完・滅失本→ロストブックス」が紹介されており、情報量も軽からず重からずで読みやすいボリューム。データブックの側面もあるので、ダレるところも正直あるんですけど(笑)、それはまあいいや。ロストとなっていることで名作の誉れ高い作品・作者もあって、そこが逆転することもあるんだ!ムズカシーなー(笑)。目次も、各章の扉もしゃれていて好みです。
帯によれば「外国文学・ヤングアダルト」のカテゴリーの本だそうで、「外国文学はともかく、これをヤングアダルトとして読んでる若者が日本にいるのか!」とちょっと思ってしまうんです(笑)けど、すごく平易で読みやすい訳文(原文もそうだろうと思わせる)には、「そこに読んでほしいなぁ」と感じさせるものもあります。実に手の込んだ、文学への誘導ガイド。ヨーロッパ文学の門外漢でも、雑学好き+根性+Mっ気があれば、十分楽しい本です。
訳者さんチーム代表、金原瑞人さんのあとがきによれば、原著を読む価値大らしいので、その道のかたはそちらもよろしいかと。
-----[2009.9.7 未読リストアップ時のコメント]------
地元紙の書評欄でちょこっと紹介されていて、気になっています。未完・未刊に終わった本、失われた本など…「ない」本についての本だとか。
- 感想投稿日 : 2009年9月7日
- 読了日 : 2010年1月4日
- 本棚登録日 : 2009年9月7日
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