著者は写真家・作家。
1970~80年代、世界各地を旅して、写真とエッセイを組み合わせた作品を多く発表。
本書は元々、1983年に刊行されており、こちらはその新装版として2018年に出たものである。初版がないのでよくわからないが、内容には大きな違いはないと思われる。
おそらくインドで撮影されたと思われる、イヌがヒトの死体を齧る写真、そしてひとこと、
ニンゲンは、犬にくわれるほど自由だ。
が添えられた1枚。これが多分、本書で最もインパクトがあり、最もよく知られる1枚だろう。
初版刊行当時、この本は相当売れたらしい。けれども個人的には知らなかった。
先日、美術番組で紹介されていたのを見て、手に取ってみる気になった。
冒頭の文字だけの章に記されるように、メメントモリ(MEMENTO-MORI)とは、ペストが流行り、人々が享楽的に生きていた中世末期のヨーロッパで盛んに使われたラテン語の警句である。「死を想え」、「死を忘るな」を意味する。
こうしたものは感性で見るものなので、人により、あるいは同じ人でも見るときにより、受ける印象はさまざまだろう。
生と死が表裏一体であることに衝撃を受け、覚醒を感じる向きもあるだろう。
つまるところ、死を想うということは、背筋を伸ばして生を生き直すということでもあるのだから。
歯並びの悪い老人3人の写真もいいが、南国の赤い花が好きかな。
どこかしら寺山修司や、同時代に流行った「パパラギ」なども思い出させる。時代を越えて生き延びるものであっても、どこか時代の手触りは残すものなのだ。
「あの頃」のパルコの広告なんかもちょっと思い出す。それは、インパクトのある写真にインパクトのある言葉、という体裁から来るものだけではないような気がする。
- 感想投稿日 : 2022年11月14日
- 読了日 : 2022年11月14日
- 本棚登録日 : 2022年11月14日
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