クヌルプ (新潮文庫)

  • 新潮社 (1955年4月1日発売)
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感想 : 62
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「クヌルプの生涯三つの物語」の副題があるとおり「早春」「クヌルプの思い出」「最期」に分かれている。「クヌルプの思い出」でのクヌルプと友人との哲学的議論が読んでいて面白かった。
流浪者であるクヌルプは何にも縛られず様々なものを愛し自由に生きる反面、孤独を抱えている。逆に、手に職をつけた友人たちは結婚し家庭を築きあげているが、自由であるクヌルプに憧れも抱いている。最期には、クヌルプ自身が自分の生涯を振り返り、自分の生涯が無意味であったと嘆くが、神との対話ですべてあるべき通りの嘆くことのない人生であったと悟る。
クヌルプのような人生に憧れるものの、帰るところのない生活は孤独で自分にはできない人生だが、二度目の人生があるのなら経験してみたいものだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年8月9日
読了日 : 2019年8月9日
本棚登録日 : 2019年8月4日

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