大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書 1045)

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年10月20日発売)
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感想 : 168
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知識の宝庫、博覧強記の二人の会話形式の本なので、聞いているだけで(読んでいるだけで)勉強になる。何を話題に扱ったか、どう語っているか、今と過去がどう繋がるか。時々、佐藤優が持論をぶっ込んできて、それに対する論拠が分からないからモヤっとするが、オリジナリティがあって、それはそれで面白い。ファクトベースを逸脱しない池上彰と相性が良いとも言える。

苦手分野というか、実体験が無いからこの手の本を読んでも中々記憶が難しい点も幾つかある。それでも、何度もこの手の本を読み、薄ら点と点を繋ぎ、キーワードを頭に定着させる。

例えば難民の話。アフリカのナイジェリアやマリでの紛争から逃れた難民は、最終的にフランスを経由してイギリスへ。イギリスでは定住権と当座の生活費が支給される。フランスのカレー海岸がイギリスに入るため、難民たちの溜まり場になっている。シリア難民は、最終的にドイツへ。

中東も理解が難しくて弱い。4つの勢力図を分かりやすく整理してくれている。1.サウジアラビア、湾岸諸国、ヨルダンなど、アラビア語を使うスンニ派のアラブ諸国 2.ペルシャ語を話すシーア派のイラン 3.アラビア語を話すシーア派のアラブ人 4.トルコ語を話すスンニ派のトルコ 。イラン対サウジアラビアの直接対決がイェメンで起きていて、シーア派とスンニ派の宗教戦争に拡大する危険性が高いのだと。この辺が佐藤優の見立て。

インドネシア、パキスタン、バングラデシュもスンニ派のイスラム教徒が多い。キリスト教の世界観を理解するのも難しいが、イスラム教は更にハードルが高い。しかし、そうした切り口で世界を読み解くというのは、重要な事なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年7月29日
読了日 : 2023年7月29日
本棚登録日 : 2023年7月28日

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