大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2015年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166610457

作品紹介・あらすじ

『新・戦争論――僕らのインテリジェンスの磨き方』に続く、最強コンビによる第2弾!

今、世界は激動の時代を迎え、各地で衝突が起きています。

ウクライナ問題をめぐっては、欧州とロシアは実質的に戦争状態にあります。

中東では、破綻国家が続出し、「イスラム国」が勢力を伸ばしています。そして、これまで中心にいたアラブ諸国に代わり、イラン(ペルシャ)やトルコといったかつての地域大国が勢力拡大を目論むことでさらに緊張が増しています。

アジアでは、中国がかつての明代の鄭和大遠征の歴史を持ち出して、南シナ海での岩礁の埋め立てを正当化し、地域の緊張を高めています。

長らく安定していた第二次大戦後の世界は、もはや過去のものとなり、まるで新たな世界大戦の前夜のようです。わずかなきっかけで、日本が「戦争」に巻き込まれうるような状況です。

こうした時代を生きていくためには、まず「世界の今」を確かな眼で捉えなければなりません。しかし直近の動きばかりに目を奪われてしまうと、膨大な情報に翻弄され、かえって「分析不能」としかいいようのない状態に陥ってしまいます。ここで必要なのが「歴史」です。世界各地の動きをそれぞれ着実に捉えるには、もっと長いスパンの歴史を参照しながら、中長期でどう動いてきたか、その動因は何かを見極める必要があります。

激動の世界を歴史から読み解く方法、ビジネスにも役立つ世界史の活用術を、インテリジェンスのプロである二人が惜しみなく伝授します。



■目次

なぜ、いま、大世界史か

中東こそ大転換の震源地

オスマン帝国の逆襲

習近平の中国は明王朝

ドイツ帝国の復活が問題だ

「アメリカvs.ロシア」の地政学

「右」も「左」も沖縄を知らない

「イスラム国」が核をもつ日

ウェストファリア条約から始まる

ビリギャルの世界史的意義

最強の世界史勉強法

感想・レビュー・書評

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  • 2015年に書かれた世界の時事問題を歴史的背景を紐解いて解説してくれる論説本。
    2015年なんて最近のように感じていたが、もう9年も経っていると流石に時事問題は古く感じる。2015年はトランプ大統領もバイデン大統領も知らない。イスラム国の衰退も。勿論コロナ禍、米国議会襲撃、アフガン撤退とタリバン政権樹立、中国の国家安全維持法の成立、安倍元総理襲撃事件、ブレグジット、ウクライナ戦争もイスラエルとハマスの紛争も知らない。他にも枚挙にいとまがない。
    思えばこの9年、世界史的に重要な出来事が幾つもあったものだと気付かされた。
    でもそれはおそらく2015〜2024年に限ったことではなく、どの9年を取っても変わらないことだろうけど。

    時事問題も9年くらい時間を置いてから“歴史として”学ぶ方が分かることが多いのかもしれない。そんなことを読みながら感じた。

    内容以外のことを言えば、佐藤さんと池上さんの知識量やスタンスにあまり差が見られなかったので、対談という形式で無くても良かったのかなという気はした。読みやすくはあったけど。

    それにしても「トランプが大統領に選ばれることはあり得ない」と言い切っていたので、やはり予想が難しかった出来事だったのだなと改めて感じた。

  • 内容は少し難しかったが、読みやすくて勉強になった。

    10のチャプターで構成され、それぞれのテーマで対談する形を持っている。

    どのチャプターも有識者である2人の意見がとても参考になります。
    全てに共通して言えるのはタイトルにもなっている世界史の重要性。現在の自分を取り巻く環境は歴史が関係しているという事。そこも理論的に説明してくれているので納得の内容です。

    特に気になったワードは「反知性主義」。
    その手の本があったら詳しく読んでみたいと思いました。


  • 知識の宝庫、博覧強記の二人の会話形式の本なので、聞いているだけで(読んでいるだけで)勉強になる。何を話題に扱ったか、どう語っているか、今と過去がどう繋がるか。時々、佐藤優が持論をぶっ込んできて、それに対する論拠が分からないからモヤっとするが、オリジナリティがあって、それはそれで面白い。ファクトベースを逸脱しない池上彰と相性が良いとも言える。

    苦手分野というか、実体験が無いからこの手の本を読んでも中々記憶が難しい点も幾つかある。それでも、何度もこの手の本を読み、薄ら点と点を繋ぎ、キーワードを頭に定着させる。

    例えば難民の話。アフリカのナイジェリアやマリでの紛争から逃れた難民は、最終的にフランスを経由してイギリスへ。イギリスでは定住権と当座の生活費が支給される。フランスのカレー海岸がイギリスに入るため、難民たちの溜まり場になっている。シリア難民は、最終的にドイツへ。

    中東も理解が難しくて弱い。4つの勢力図を分かりやすく整理してくれている。1.サウジアラビア、湾岸諸国、ヨルダンなど、アラビア語を使うスンニ派のアラブ諸国 2.ペルシャ語を話すシーア派のイラン 3.アラビア語を話すシーア派のアラブ人 4.トルコ語を話すスンニ派のトルコ 。イラン対サウジアラビアの直接対決がイェメンで起きていて、シーア派とスンニ派の宗教戦争に拡大する危険性が高いのだと。この辺が佐藤優の見立て。

    インドネシア、パキスタン、バングラデシュもスンニ派のイスラム教徒が多い。キリスト教の世界観を理解するのも難しいが、イスラム教は更にハードルが高い。しかし、そうした切り口で世界を読み解くというのは、重要な事なのだろう。

  • ①なぜ、いま、大世界史か
    歴史は現代と関連づけて理解することで、初めて生きた知になる。読書や歴史を学ぶことで得た代理経験は、いわば世の中の理不尽さを経験すること。だからこそ社会や他人を理解し、共に生きるための感覚を養ってくれる。例えば「今は新帝国主義の時代である」というキーワードによって世界の動きがかなりはっきり見えてくる。それだけで説明できないものも残る。
    ②中東こそ大転換の震源地
    これまでアラブ人といえばスンニ派だった。しかし、イラクの現政権を実効支配しているのは「シーア派アラブ人」であり、新しい民族が生まれつつある。こういう混乱した状況になると、最終的には思想が人を動かす。だから過去にどういう思想の鋳型があったのかを調べることが重要だ。「イスラム国」の狙いは、アッラーが唯一であることに対応して、地上においてもシャリーア(イスラム法)のみが適応される単一のカリフ帝国を建設すること。暴力やテロに訴えることを辞さない。既存の国際秩序、人権など普遍的価値を一切認めていない。
    ③オスマン帝国の逆襲
    イランは「ペルシャ帝国」、トルコのエルドアン大統領は「オスマン帝国」よ再びという動きを見せている。かつてのオスマン帝国の境界地帯で現在さまざまな紛争が生じているが、オスマン帝国の統治下では平和的に共存していた。エルドアンは専制君主ではあるが、帝国的な寛容は望むべくもない。
    ④習近平の中国は明王朝
    国には、膨張志向の国と収縮志向の国がある。アラブも日本もアメリカ、ロシアも収縮の国。今の中国は膨張する国。それを象徴するものは「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」と「南シナ海への海洋進出」である。明は漢民族中心の帝国主義の国で、習近平は「かつて鄭和の時代に南シナ海を開拓し、平和の海にした。それ以来、中国の領地なのだ」と言う。かつて、「海はみんなのもの」としたほうが海洋帝国であるだいえいていこくに有利であった。だから、領海の拡大は、本来、反帝国的な動きである。中国は、とにかく資源が欲しくて場当たり的に動いている。韓国の歴史教科書は「テロリスト史観」で日本にとって脅威。
    ⑤ドイツ帝国の復活が問題だ
    ギリシャ問題に関しては、そもそもギリシャをヨーロッパと考えるのが間違い。現在のギリシャは、ロシア帝国と大英帝国のグレートゲームになかで恣意的につくられた仇花である。オスマン帝国を解体するために西側の出店としてつくった国家だから、いわばそこに存在すること自体がギリシャ人の仕事になっている。ギリシャ人の働き方は、ロシアと一緒で生産性は低い。それに対して、ドイツ人は勤勉で生産性が高く、これがドイツの強さの根源である。ドイツ人のライフスタイルは質素で内需の拡大は期待できないので、産業は輸出に頼るしかない。新たなパートナーは誰か。パートナーたちは、経済と国家の安全保障を結び付けて考える。さあ、EUの行き詰まりをどうしていけばよいのか。
    ⑥「アメリカvs.ロシア」の地政学
    ロシアは、自国国境の周辺に自由に動ける緩衝地帯や衛星国がないと安心できない。だから、ウクライナ問題に対しては強硬姿勢である。ウクライナは、フィンランド化していくだろう。
    オバマの弱いアメリカは、世界から軽んじられている。ネオコン的なヒラリーが大統領になれば、オバマ民主党路線との違いを見せた外交になって、戦争が起きやすくなるだろう。大統領選で鍵を握るのは、非白人人口の中の特にラティーノ、南部諸州、リバタリアン(自由至上主義者)たちである。
    ⑦「右」も「左」も沖縄を知らない
    沖縄では、日本からの分離の動きの下地ができている。安保賛成というと辺野古への新基地建設を強要されるのはおかしい。自分の頭で日米同盟はどうすれば維持できるか考えなければならない。
    ⑧「イスラム国」が核を持つ日
    冷戦下で相互抑止体制を築き、なんとか核戦争は先送りされた。それがここにきて、相当の数の国が核を保有しながら併存する時代にとつにゅうしつつある。しかし、本当に併存が可能か誰も分からない。
    ⑨ウェストファリア条約から始まる
    宗教戦争を終結させる、宗教のために戦うのをやめるというのは、神よりも重要な価値を認めるということであり、その意味で、ウェストファリア条約とコペルニクス革命は、同じパラダイムにある。これをきっかけとして、「人権」という概念が出てきた。それに対して、「イスラム国」などのイスラム過激派は、今日においても「神の主権」を主張している。間違いを起こす人間が法律をつくるなどとんでもない。民主主義はだめだ、神なら間違えない、ということでシャリーア(イスラム法)を絶対視する。イスラムは、キリスト教と違って、現在意識にない楽観的人間観であり、神が命じれば、聖戦の名の下にいかなる暴力も許されてしまう。
    ⑩ビリギャルの世界史的意義
    イスラム、アフリカの人口増加、これが歴史を動かしていくのかもしれない。豊かな経済基盤によって移民を呼び寄せられる国が、「帝国」になりうる。
    そして、教育も重要である。しかし、日本のエリート教育は、ビリギャルが話題になるぐらいの受験刑務所で酷いものである。今こそ真の教養教育が行わなければならない。今日において教養となにか。「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」の7つのリベラルアーツを学ぶことによって、偏見や束縛から逃れて、自由な発想や思考を展開できるのだ。実証性や客観性を軽視して自分が欲するように世界を理解する反知性主義は、極めて危険だ。
    ⑪最強の世界史勉強法
    自分を知るために歴史を学ぶ!
    1~11章まで、自分自身がひっかかった言葉を中心にまとめてみた。このまとめ方に、私自身の考えが出ている。私のような歳になっても教養を付けようとするのは、まだまだ遅くないように思う。

  • 池上彰氏と佐藤優氏のを互いの強みを補った世界の歴史書。今の自分の自己認識を深めるための教養本として楽しく読めた。
    「歴史を知るとは生きていくために自分を知るということ」

  • 難しかったことを覚えている。
    何年前かに読んだので、ノートに感想は記載。

  • なぜかちゃんと頭に入ってくる!

  • 読みやすいし、対話形式だからわかりやすい。
    勉強になった

  • とてもわかりやすく説明してくださる人気のお二方の対談。
    どんなところがわかりやすいかというと、わからない語句の意味を「それはつまりこういうことです」と説明してくれたり、「では〇〇についておさらいしておきましょう」と解説をいれてくれる。

    それに知識が豊富なので、いろいろなことがわかって、本当に、とても面白いのです。
    「へー、そうだったんだ」と思うことが満載!

    ひとつ嬉しかったことを書いておきます。
    池上「日本人にとっては意外なのですが、実は韓国の人たちには、北朝鮮の核開発はそんなに無理やりやめさせなくてもいい、という意識がありますね。
    韓国が独自に核開発をしようとすると、アメリカからいろいろうるさく言われるけれど、いずれ南北が統一されれば、北朝鮮の核が我々のものになる、と。」

    私は北朝鮮と韓国が統一してくれたらいいなあと、ずっと思っていました。
    そうしたら横田めぐみさんがお父さんお母さんと再会できるのではないでしょうか。
    韓国の人たちにそういう希望があるなら、がんばってほしいです。

    それと、もうひとつ大事なことを書かなければ。
    佐藤「(トランプのことを)しかし、民主党候補に勝ち、大統領になれるかと言えば、その可能性はほぼゼロでしょう」

    この本は一年前に発行されたものです。
    佐藤さんのその後の御意見をぜひ伺いたいものです。

  • 宗教指導者や経済界指導者の暗躍。世界的な視野。下部の人間は健全。

  •  言わずと知れたニュース解説者の池上彰と、元外交官で神学を修めた佐藤優の対談。2人の対談形式の本はたくさんあると思うが、これは2015年時点の世界情勢を踏まえて、世界史学習の必要性について語った本。世界史を学ぶための2人のおすすめのブックガイドも最後に載っている。「大世界史」というタイトルの意味は、「第一は、「世界史と日本史を融合した大世界史ということだ。(略)第二は、歴史だけでなく、哲学、思想、文化、政治、軍事、科学技術、宗教などを含めた体系知、包括知としての大世界史ということだ」(p.253)。
     ちょっと自分が世界情勢に弱いので、この2人が10年前に言ったことの答え合わせ的なことが出来ないのが残念。改訂して注とかで現在どうなってるのかを補う版が出ればまた売れると思う。
     あとは勉強になったところのメモ。外務省の幹部の話、ということで、「一〇世紀から一四世紀のシーア派とスンニ派のさまざまなイデオロギーを勉強した方がいい。そうしたイデオロギーが二一世紀のテクノロジーとつながるから厄介なのだけど、いずれにせよ、こういう混乱した状況になると、最終的には思想が人を動かす。だから過去にどういう思想の鋳型があったのかを調べることが重要だ」(p.42)ということだから、特に歴史まで勉強しないと今の情勢は理解できないし、歴史の勉強から始まるとも言えるのだと思った。「さまざまなイデオロギー」ってどんなものがあるんだろう。人は感情で動くものだと思うので、時代や集団を支配するイデオロギーを知ることは不可欠。歴史の勉強の中にも「当時はこういう考え方をした」という話がもっとあればいいなと思う。トルコの近代史の話で、言語の改革の話はどこかで知った気がするが、忘れてしまっていた。「それまでほぼ一〇〇%だった識字率が、わずか二%に落ちてしまった」(p.55)ってそんなこともあったらしい。ロシアのプーチンみたいな人がトルコにもいるんだ、というのが分かった。ミナレットが6本あるという「エルドアン・モスク」って今も見れるのだろうか。次に中国の話で、「ソマリアまで言った鄭和の大航海」の話が面白かった。「鄭和は雲南のイスラム教徒でしたが、明に捕らえられ、宦官にされた。やがて永楽帝に重用されて大艦隊を率いることになります。」(p.89)という話で、「宦官にされたのは、裏返すと、信頼されていた、ということですね。能力が高いから。そういう人間を使うには、宦官にするか独身制を導入するのが合理的でした。そうしないと財力や権力の世襲が生じてしまうから」(pp.89-90)だそうだ。あとは歴史教科書の話はだいぶ前にものすごく話題になったが、この本で紹介されている韓国の歴史教科書、って過激だなと思った。「テロリスト史観」(p.96)による歴史、ってそんな捉え方があるのか、という感じ。確かに各国がどんな歴史教科書を使って学んでいるか、というのはその国や人々を理解するのに必要なのに、あんまりない視点だなと思った。次にギリシャの話。「一八二九年に、古代ギリシャの滅亡以来、一九〇〇年ぶりに独立を果たすのですが、国民は、DNA鑑定をすれば、トルコ人と変わらない。(略)言語も、古代のギリシャ語とはまったく違います。(略)しかし、古代ギリシャと関係があるかのように誤解させることをロシアとイギリスが合作で行ったのです」(pp.105-6)ということだから、ギリシャ人のアイデンティティは他国によって政治的に恣意的に作られたもの、ということだ。でも言語学的には、現代ギリシャ語と古典ギリシャ語は全く違ったとしても、関係ないは言い過ぎだと思うけど。ギリシャ人の働き方の話が出てきて、労働時間が短い、ということ。「労働時間の短縮という意味においては、社会主義の理想がかなり生かされた」(p.112)ということがあるらしい。あとやっぱり大きなテーマはウクライナの話。ロシアのウクライナ侵攻は2022年だから、それよりも7年前の時点でのウクライナ情勢の話が書かれていて、この辺りの答え合わせがどうなっているのか気になる。「最終的には、ウクライナは『フィンランド化』を受け容れていくしかないでしょう。独立は維持するものの、ロシアの強い影響下にとどまるほかない。国内の政治状況も混乱をきわめていますし、EU諸国も本気で面倒を見る気などないでしょう。」(p.139)となっている。この流れでフィンランドの歴史も解説されるが、それもあんまり知らなかった。2015年のプーチンのヴァチカン訪問について、「見た目は正教、実はカトリックという『ユニエイト教会』が、ウクライナの現政権を支えていて、この協会と折り合いをつけるのが、ヴァチカン訪問の狙いです。ウクライナ情勢を動かしているキー・プレイヤーの一つがヴァチカンなのをプーチンはよくわかっている。」(p.200)ということなのだそうだ。全然知らなかった。次にアメリカの話。この当時はオバマとトランプだったらしく、「オバマは、まだまだ任期を残したこの早い段階で、すでにレームダック(無力)化しています」(p.142)という話が出てきたが、レームダックというのは政治用語らしい。そして、この本の特徴的なのは、ここから沖縄の話が出てくるということで、個人的には改めて最近沖縄の話を最近見たり読んだりしていたので、気になるところだった。とは言っても、結局自分の関心は言語に向いてしまうので、「現在では、沖縄ではなく、移民がいる南米のボリビアの方が琉球語をきちんと話している」(p.164)という話は、よくある移民の方が言語を保存する話の例だなと思った。あとは、反知性主義との闘い、がこの本のテーマなのだそうだが、教養の大切さについて語った部分で、「ヨーロッパの大学では、リベラルアーツと呼ばれる七科目が学問の基本とされました。(略)リベラル(自由)・アーツ(技芸)で、『人を自由にする学問』。こういう教養を身に付ければ、偏見や束縛から逃れて、自由な発想や思考を展開できる」(p.224)という話。最近英語の授業で、「リベラル・アーツなんか自分でやればいいから大学で学ぶのはもっと実学にすべきだと固く信じる女子高生」というとんでもない人物が登場する、ある模試のリスニングの過去問をやっていて、その時に、この女子高生がいかに世の中の利益や都合に束縛されていて自由じゃないか、という話をすれば良かった、と思った。リベラル・アーツが教養科目、って当たり前すぎてなんでそんな名前なのか、っていうのを考えてなかったことを反省した。最後に、「エリートのナルシシズム」の話が印象的だった。「エリート層は、個人の利益増大だけに関心を集中させる」(p.229)、つまり「高等と言われる階層は、自らのうちに閉じこもり、外部から遮断されて生きることになり、自分では気づかぬうちに、大衆や民衆に対して距離を取り軽蔑する態度を発達させていくかもしれない。」、「質の高い教育を社会のためでなく自分のために役立てる」(同)というのは、なんか進学校で教えていると、おれの接している生徒たちにありそうで、現にそういう振る舞いを見ることもあるが、それは未熟さゆえに共感力が低いから、ということだけではなかったとしたら、恐ろしい話だなと思う。成長すればもっと人のことを自然に考えるようになるだろ、と思ったらそういうことではなかった、という話。ノブレス・オブリージュ的なことって一生懸命学校教育で教えていくことなのかな、単純に人の役に立つことの喜びを体験させるのがいいのかな、とか思う。(25/12/21)

  • 本書は「世界史の本」というよりも、現在の地政学や国際情勢を読み解くことが中心で、その背景を理解するためには歴史を学ぶことが大切だということを主張している本だというのが妥当だろう。ただ読み物としてはかなり面白い。佐藤氏と池上氏の対話形式であり、読みやすい。

    2015年時点でのものであるため、予想が完全に外れているものもある(例えばアメリカ大統領選におけるトランプの勝利)が、それも含めて楽しんで読めば良い。

    ビリギャルに関する佐藤氏の考察は興味深い。

  • 面白かった。佐藤優のマニアックさを池上彰が上手く受け止めて噛み砕いてくれているのはこの本の企画のいいところ。しかし中東もヨーロッパも奥が深い。歴史に学ぶ姿勢がそれこそ過去に何度も見られた。同じことはもう繰り返さない、という決意・姿勢、そしてなるべく長期的に物事を考える、という習慣。世界史の勉強と沖縄の歴史の勉強をしたいと思った。

  • 受験のためにかつて世界史を勉強したが、知識の詰め込みに終始し、また現代史はほとんど出題されないのでほとんど手付かずのまま終えた。社会人になってから改めて現代につながる生きた世界史を学びたいと思い手に取った。対談式で読み進めやすく、欧米だけでなく中東、振り返って日本についても詳述しているところが良かった。

  • さすが池上さん、歴史を学ぶ重要さがわかる本だ。しかも本書には現在の世界政治の源流が楽しく理解できるというポイントまで付いている。
    対談の相手は「外務省のラスプーチン」佐藤優氏。東京拘置所では勉学に没頭していたという知性の塊り、この二人は意外とケミストリーが合うのではないか。いつも冷静な池上さんが本書では普段よりも政治的にやや突っ込んでいる。
    また、オスマン帝国やペルシャ帝国の歴史を聞くと、自分がいかに無知だったのかがよくわかる。現在の国際政治は過去の経過の上に成立していることが思い知らされた。本書をまさに「最強の教科書」と高く評価したい。

    2017年7月読了。

  • 本書でイスラム世界の動きで注目すべきはトルコと記載されているなか、軍部によるクーデタ未遂。まさに慧眼としかいいようがない。それにしても、プロの分析者の目というものは一般人とここまで違うのか、と思い知らされた。まさに歴史を学んでいないことを思い知らされる一冊だと思う。

  • 純粋に勉強になる。
    「いま起きているニュースはどのような理由から来ているのか」人や「世界史勉強しなおしたいけど、忙しくてなかなかできない」人、「今世界情勢はどんななってるのか気になる」人は、とても勉強になる本。ざっくりだけども、世界全体を概観できるつくりになっている。ただ、世界の動きと日本の動きを連動させてみるには、やはり自分の頭でしっかりと考えなければならないので、この本はその助けになるだけと思っていたほうが良い。

    読後感は、「そっかー」で終わりがちなのが、こういった教養本であるが、そう終わらせないためにも自分の頭で考える必要がある。以下、自分なりに整理。

    ①中東の動き(イスラム国だけではなく、トルコ、サウジも含めて)は、宗教、民族の視点でみないと読み解くことができない。例えば、シーア派とスンニ派、イスラム穏健派、イスラム過激派、クルド人、などなど。こういった知識は前提として持っていないと中東の動きは何がなんだかわからない。

    ②アメリカ、中国、EU(ドイツ)、ロシアという帝国の動きは世界史を見る上で、欠かせない。とくに、アメリカの動きはすべての国際情勢に影響を与えるだけに、ホワイトハウスは何をしているのかをしっかりとみるべきである。また、中国に関しても、ロシアと中国、アメリカと中国、EUと中国の関係性は押さえておかないといけない。

    ③①と②の動きの連立方程式で物事をみていく必要性がある。

    現在帝国が、今後国際社会でどのような役割になっていくのか、どのような思惑、世界戦略があるのか、をしっかりと見据えたうえで、現在を動きを注視していかないといけないだろう。そのことを考える上で、重要になるのが「世界史」なのだと両者は言っている。たしかにそのとおりだろう。

    これに加えて、国際情勢を経済面から分析している論考も合わせて読むと世界を立体的に見れると思う。

  • いま世界で起きている事の理解が深まります。

    SNSなどの世界で徹底的に他人を叩く様な出来事があるのは、反知性主義の現出の一種なんでしょう。この本を読んで、ストンと落ちました。こう言う事は、品質劣化の激しい今時のテレビでは放送され無いので、広く知る機会が無かったですね。こう言う本が出て本当に良かったと思います。

    歴史や世界を学ばなければ、日本の将来に暗雲が立ち込めて来る気がします。(既に時遅しかもしれませんが)

  • 面白かった。でもちょっと難しかった。
    地図を見ながら読んだら、ほんとに面白かった。

    中身は対談形式。
    うろ覚えでいいので、高校の世界史の知識がないと、ついていけない本。
    世界史を紹介した普通の本ではなく、歴史を踏まえて今起きていることをどのように捉えるか、大局的な一つの見方を述べている。

    あーこんなことあったなー、なるぼどこういう風に繋がると解釈できるんだ、と発見が多かった。
    だから、歴史は面白い!
    こういう本は楽しい。


    本の中で、反知性主義という言葉が出てくる。
    反知性主義とは「客観性、実証性を軽視もしくは無視せて、自らが欲するように世界を理解する態度」(抜粋)をいう。

    今、私の周りにも、反知性主義がはびこっている。本人たちが意識的か無意識か、また程度のレベルは別として、そういう人たちは多い。

    都合が良いところだけ切りとり、都合が悪いことは無視するので、見ていてなんとも気持ち悪い。たまに人間性を疑いそうになる。
    この本が多くの人に読まれ、そうした変な状況が少しでも減るといいな、と祈りたい気分になった。



    追記: 著者の池上さん、佐藤さん、本書は知識層にはいいけど、そもそも反知性主義的な人には難しいのでは?と感じます。もうちょっと易しい本を出すと良いのでは、と思ったりしました。
    …易しいのを出しても、読まないか、読んでも無視するから意味ないかも^_^;

  • ドイツは移民に寛大
    →2年で100万人のイスラム教徒移民が入ってくる
    →シリア難民

    イギリスも難民の受け入れ態勢がしっかりしている
    ・難民として認められれば、定住できる


    中東
    ・イラク情勢の変化
    ・アラブの春以降の社会構造の変化
    ・過激なイスラム主義急速な拡大
    ・イスラム国やアルカイダとは異なるテロ組織の急増

    4勢力
    ・サウジアラビア、湾岸諸国、ヨルダン
    →アラビア語、スンニ派、アラブ諸国
    →欧米と協調
    ・イラン
    →ペルシャ語、シーア派
    ・アラブ人、イラク?
    →アラビア語、シーア派
    ・トルコ
    →トルコ語、スンニ派

    イラン対サウジアラビアがイエメンで起きている
    スンニ派とシーア派の対立が激化
    →中東全体を揺るがしている

    アラブ人
    →アラビア語を話す人

    トロツキー
    →世界革命路線
    スターリン
    →一国社会主義

    イスラム国
    →スンニ派

    イラクの現政権を実行支配してる
    →シーア派のアラブ人

    シャリーア(イスラム法)
    →ムハンマドの死後整備された
    →コーランとハディースが元
    ・コーラン
    →ムハンマドが神から授かった言葉
    ・ハディース
    →ムハンマドの現行に関する伝承

    アラブの春以降、アラブ諸国は分裂、弱体化している
    →非アラブのトルコとイランが帝国として拡張主義的政策をとっている
    ・トルコ
    →オスマン帝国
    ・イラン
    →ペルシャ帝国

    エルドアン大統領
    →イスラム化政策をすすめている
    →独裁のような形

    エルドアン・モスク
    →ミナレットが6本→恐れ多いこと
    →メッカのカーバ神殿が元は6本
    →→ブルーモスクを建てる時、間違えて6本にしてしまい、カーバ神殿に一本寄贈したことがある

    カリフ
    →預言者ムハンマドを代理するもの

    ・クルド人
    →独自の国家を持たない世界最大の民族
    →2500-3000万人
    →イスラム教、スンニ派
    →トルコ、イラク北部、イラン北西部、シリア北東部
    →→第一次世界大戦でオスマン帝国が崩壊する前は、この地域は、クルディスタン(クルド人の土地)と呼ばれてた
    →→英仏のサイクスピコ秘密協定で、今の国に分割された

    為替ダンピングとは、輸出を伸ばす目的で輸出品の価格を安くするために為、自国の為替レートの切下げを行うことを指します。

    為替ダンピングができる国
    ・アメリカ、EU、イギリス、日本だけ

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京科学大学特命教授を務め、現在5つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』(ちくまプリマー新書)、『お金で世界が見えてくる』、『日本の大課題 子どもの貧困』編者、『世界を動かした名演説』パトリック・ハーラン氏との共著(以上ちくま新書)、『なぜ僕らは働くのか――君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』(監修、学研プラス)、『経済のことよくわからないまま社会人になった人へ』(ダイヤモンド社)、『20歳の自分に教えたい経済のきほん』(共著、SB新書)ほか、多数。

「2025年 『池上彰の経済学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上彰の作品

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