初代皇帝アウグストゥスの後を継いだティベリウス帝の苦闘を描く。
著者は明らかに、ローマ帝国の維持発展という重荷をただ一人で担ったこの冷徹峻厳で孤独な政治家ティベリウスに肩入れしていて、気楽な議論ばかり続けている元老院(富裕なローマ市民600人からなる終身制の最高統治機関)には批判的。読者は自然、現在の日本の国会議員たちの言動に思いを至たすことになる。
カエサル、アウグストゥス、アントニウスやクレオパトラが登場し、ローマ本国や周辺諸国を巻き込んで派手な軍事闘争を行った前の時代に較べて、動きはぐっと地味になるが、中身は充実。著者のパワーは衰えるどころか、逆にアップしたように感じられる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本 :世界史
- 感想投稿日 : 2017年10月21日
- 読了日 : 2007年2月7日
- 本棚登録日 : 2017年10月21日
みんなの感想をみる