隠喩としての病い

  • みすず書房
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感想 : 8
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 70年代頃のアメリカ文学に共通する読み難さを感じた。訳者の問題なのかなぁ。だとしたら、そんなに長くもないし、原著をちゃんと読んだ方がいいのかもしれない。<br>
 引用される作品の多くが、馴染みのないものや名作として知られてはいては未読だったりするので、全体としてイメージが作り難い。そういう意味では、(私は未読だけど)ソンタグの著作でも『エイズとその隠喩』の方がわかり易いのではないか。<br>
 結核が情熱の発露として表現されるのに対して、癌は感情の抑圧の隠喩として用いられる、という話は面白かった。癌の多因性や多様性と共に、アトピーと共通するものを感じる。癌とアトピーの間には、慢性疾患という共通点だけで、異なることの方が多いと思ってきたので、この気づきには自分でも驚き。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 研究関係
感想投稿日 : 2006年6月19日
本棚登録日 : 2006年6月19日

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