色々なレビューを読むと、ちょっと敷居が高い気がしていたのだが、興味深く最後まで読み進めた。
日頃モヤモヤと形にならないまま抱えていた思いに言葉を与え、文章にしてくれた、そんな小説だった。
社会的地位を得ている弁護士城戸が、Xを調べていく中でどこか不安定で揺らぐ気持ちを抱えていく状況は、想像するしかないのだが…日本人として向き合わなければならないことから目を逸らしている自分に気付かされる。
中でも、
「立法と行政の失敗を、司法が、逸脱者の存在自体をなかったことにすることで帳消しにする、というのは、欺瞞以外の何ものでもなかった。もしそれが罷り通るなら、国家が堕落すればするほど、荒廃した国民は、ますます死刑によって排除されねばならないという悪循環に陥ってしまう。」252p
というくだりには、ハッとさせられた。
2023.9
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
913日本の小説
- 感想投稿日 : 2023年9月28日
- 読了日 : 2023年9月23日
- 本棚登録日 : 2023年9月23日
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