路上のストライカー (STAMP BOOKS)

  • 岩波書店 (2013年12月21日発売)
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中高生向け読書感想文課題図書~デオは14歳,ジンバブエのマシンゴ州で祖父・母・10歳離れた兄のイノセントと暮らしている。楽しみはサッカーだ。ある試合の日,兵隊が乗ったトラックが広場に入り,食料を出せと命じた。僅かな食料を出したが無論満足しない。イノセントは兵士に掴みかかって拘束され,袋を被されて杭に縛り付けられている。目を離した僕が悪かったと考えたデオは母がアメリカの教会に頼んで届いた食料を奪うことに夢中な兵士の裏を搔いて,イノセントを救い出したが,住民の虐殺が行われて,村に居ることは不可能になった。母と親しいワシントン警部に救いを求めたが,大統領支持派の若者に乱暴を働かれ,早々に国境の町,ベイトブリッジ行きのトラックに乗せられた。マイ・マリアを探しだし,ポーチ代わりのサッカーボールからなけなしの十億ドルを渡して,国境の川を越える道案内を依頼することができた。漸く川を渡り,南アフリカ側に来たが,自然保護区は駆け続けなければならない危険地域だ。一番の危険はライオン。フェンスまで皆で行き着き,電流をかいくぐって,ぐったりしていると,拾いに来たトラックはトマト農場へ連れて行った。寝る場所と無料の食事が出て,日曜には村までサッカーに行けるが,そのサッカーで弟がゴールを決めて,はしゃぐイノセントに村人が切れ始めた。難民を拾って安い賃金で働かせる農場主によって,村人は職を失ったのだった。農場に居られないと感じた兄弟はジョハネスバーグに移り,橋の内部に住まいを見つけたが,アレクサンドラ・タウンシップで起きたゼノフォビア(外国人憎悪運動)で,イノセントは焼き殺されてしまった。自棄になってケープタウンでかっぱらいの生活を続け,シンナーに溺れるデオが腰を落ち着かせた橋の下に,サッカーボールが降ってきた。高速道路を走るトラックの荷台から,南アフリカのストリートサッカーのコーチがネット入りのボールを落としたのだった。テクニックを認められ,難民ながらも代表チームに入ったデオは,ブラジルとの決勝に臨む~ホームレス・サッカー・ワールドカップの話はニュースで見知っていたが,南アの成功で毎年開催されるようになったとは知らなかった。日本でホームレスと言えば,中高年!とイメージしてしまうが,子どもの路上生活者が世界にはたくさん居るんだよね。日本代表は野武士ジャパンと銘打ったが,落ち武者のイメージだよね・・・そう・・・若者に希望を与える催しであって欲しいね。中高年にも夢や希望があって良いけど。ま,そこらへんを読み解かせようという意図がありありの課題図書でした。このシリーズは10代からの海外文学というキャッチコピーで岩波書店が考えたもので,目印は切手(stamp)。ティーンの喜びや悩みを綴った作品のシリーズだというが,今の若者が手を伸ばすだろうか。まあ・・・図書館の職員は岩波”神話”を見知っているだろうから,セールスに引っ掛かるだろうけど

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年6月4日
読了日 : 2014年6月4日
本棚登録日 : 2014年6月4日

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