三浦しをんさんのエッセイに出ていた本。著者や内容について詳しく触れられてはいなかったので、予備知識なく読み始めたところ、読めば読むほどわからなくなった。
一つの物語かと思ったら短編。でも、連作短編集にしては違和感があり、短編集にしてはいくつかの人物や状況が似通っている。何がなんだかわからないまま読み終え、『訳者あとがき』にて、このわからなさがようやくわかった。この本は著者そのものだと。
いつも敵がいて、いることは確かなのに、敵のことを何一つ知らない。
どのような罪状なのか事態の全容は曖昧で、いっさい明らかにされていない。
不条理、偽り、一方的に非道な耐えがたい状況。
小説を書くことが、著者が生きていくための絶対的な方途であったとはいえ、「完全なる狂気に陥る際」をこれほどまでに言語化できるとは。
読むことができた偶然に感謝。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年8月17日
- 読了日 : 2023年8月17日
- 本棚登録日 : 2023年8月15日
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