教養的な学問はもちろん、実学科目であっても、それを単に自分自身の楽しみとしているだけでは本当に学んだことにはならない、と福沢は人々を励ます。せっかく身につけた学問は、他人のために役立ててこそ、自分もまた幸せになれる。重たいな。
人間はまず生きるために働かなければならない。
福沢は知的努力を通じて社会(他者)に対して多くの有益なものをもたらすが、近代的な意味で尊敬に値する仕事であり、そうした仕事を通じて当人も高い報酬を得られると説いた。報酬が高く、尊敬され、やりがいもある仕事だ。ただし、たぶん労働時間は永いだろうし、ストレスやプレッシャーも尋常じゃない。
これに対して漱石は、他人のためにするのではなく、自分の内発的な精神的要請に従って行う自己本位な仕事こそが本当にいい仕事だとした。こうした仕事は原則的には報酬は低いがやりがいはあり、カネのために嫌な仕事をするのに比べたらストレスはたまらない(プレッシャーはある)
自立して生きるといっても、人間は他人との関係なしに生活を射止めない以上、他者との互助、互恵体制の維持は自律の前提条件となる。
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カテゴリ:
生き方・人生
- 感想投稿日 : 2010年7月30日
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- 本棚登録日 : 2010年7月30日
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