元は1985年の中公新書。参謀本部の組織分析や近現代史の中の役割を期待して読んだが、実際はより幅広い戦史・陸軍史とでも言うべき内容で、予想とは違った。
参謀本部に絞った部分で言えば、発足は軍令事項を内閣すなわち政治から切り離すため。ただし軍政と軍令との関係は、統帥権の内容を陸軍内の手続のみで拡大するなど両者の境界が恣意化される時もあれば、参謀本部が中国相手の長期戦を戦う戦備がないことを自覚しているにも関わらず陸軍省がこれに同意せず、結果として政府が対中和平工作を打ち切るなど、両者が分断されていた時もあったようだ、
一方、中堅幕僚の横断的結合による「幕僚統帥」が昭和の開戦謀略の要因だったことは、本書でも指摘されている。
あとがきでは、岡崎久彦とその著書を、古典の解釈の誤り、参謀本部のエリートと同質の思いあがりだと厳しく批判している。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2019年5月23日
- 読了日 : 2019年5月23日
- 本棚登録日 : 2019年5月23日
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