面白おかしくて、悲しくて、狂っていて、ウィットに富んでて、奇妙な気味悪さが最高です。短編ならではの切れの良さを堪能させて頂きました。
特に心に残ったのは以下の作品。
・グロッグツヴィッヒの男爵
尻に敷かれる貧乏男爵のお話。すかんぴんになってからの不死鳥っぷりが素晴らしい。自害寸前のところで、死神的な幽霊との対話の中で「やっぱやーめた」となる鋼メンタルから学ぶ点は現代に通じると思います。
・追いつめられて
あっと驚く保険金殺人事件(未遂も含まれる)のお話。要旨が掴めないまま霧の中を歩くように読み進めていくと、ぱっと視界が開けるようにお話の全貌が見えてくる、素晴らしいミステリーです。
・信号手
こちらも驚きのホラーミステリー。少しの無駄もない筆致がとても心地良いです。短いお話の中で、勤勉で実直、かつ知的な信号手への好感度と好奇心がどんどん上がると同時に、破滅の予感が高まっていき、最後にスッと冒頭の伏線が回収されるのが最高の読書体験。
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年11月26日
- 本棚登録日 : 2023年11月12日
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