気楽に殺ろうよ: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 2 (2) (小学館文庫 ふA 2)

  • 小学館 (1995年7月15日発売)
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youtubeの漫画紹介のshortが流れてきて気になった一冊。最近は小説は書籍、漫画は電子で買っていたけど、この本は書籍で購入して良かった気がする。ドラえもんの作者のイメージくらいしかなかったけど、大人向けの皮肉が効いていて、星新一に似た(出会った順番の問題だけど)短くてきれいなオチがとても心地よかった。「定年退食」も行き過ぎているけど想像できる未来の感がぞっとさせる。特に印象に残ったのは、「気楽に殺ろうよ」も間違いないけど、個人的には「安らぎの館」。"きみはもうなにもしなくていい。"の頁はぞっとした。何もしなくていいわけないんだなあと改めて思った。
きっといろいろな想像が膨らむ経済成長のなかで期待と未知の不安を基に描かれたSFを、実現できそうな現代に読むからフィクションにしきれないリアリティが出る。当時とは面白さの種類も違うのかなと思う。そうすると、、現代のSFはどこを見据えて、どんな未来をイメージできるんだろうかと気になった。クルマが空を飛んで、ボタン一つでご飯が出てくるようなよくある近未来的な世界の次を(人類退廃のルート以外で)想像している人はいるのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月12日
読了日 : 2023年2月12日
本棚登録日 : 2023年2月12日

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