解決編の下巻。まさかの隣人襲撃が本当に怖すぎる。あの絶望的な状況で大事に至らなかったのは奇跡としか言いようがない。日本家屋における、湿り気多めの恐ろしさかと思いきや、思いっきり物理的恐怖で殴られた衝撃たるや。
そして三人称になって初めて得られた、ナル視点の描写。事件に向かう思考はこうなっていたんだなあ、と新鮮な気持ちで受け止めた。ジーンの再登場もうれしい。別れには少し寂しさが混じるけれど。ナルとジーンのやり取りも結構高揚した。
下巻に差し掛かってよりいけ好かなさが増した広田だが、広田の視線を介することで、面々の横顔が際立っていた面もある。堅物で腹立たしい思いもさせられたけれど、意識が変容していくさまが丁寧に描かれ、エピローグに着地したと思うと悪くない読後感につながった。
やっぱり、麻衣の感性は何者にも代えがたい物語の鍵だかあ、と終わりまで読んで改めて感じる。「関わるのをやめちゃうと、そういう気持ちがいっぱいあるのに見えなくなってしまう気がするんだ」。こういうことを軽やかなステップとともに言ってのける麻衣がいるからこそ、ゴーストハントはより魅力的な物語になっているのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
講談社X文庫
- 感想投稿日 : 2023年6月8日
- 読了日 : 2023年6月7日
- 本棚登録日 : 2023年6月7日
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