源氏物語 A・ウェイリー版1

  • 左右社 (2017年12月22日発売)
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本棚登録 : 338
感想 : 17
5

源氏物語はずっと気になっていた。
・もともと日本の古典を少しずつ読みたいと思っていたし、
・源氏物語はフランスでは「世界最古の心理小説」として知られている*ことを知りその世界的な位置付けに興味を持ったし、
・そして地球っこさんのレビューにやられ、
・最後に須賀敦子対談集の中の「夏だからこそ過激に古典を」に背中を押されて本書を読んだ。

*Le Dit du Genji, écrit au Japon au xie siècle, est considéré comme le premier roman psychologique du monde.
https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Le_Dit_du_Genji

クリムトの装丁が秀逸で「これはジャポニズムに深く影響された、しかし全く新しい世界観の作品ですよ」というメッセージが込められているよう。

光源氏はシャイニングプリンスゲンジ、神無月のフリガナはゴッドレスマンス、法華経のフリガナはロウフラワー。そうやってウェイリーは英訳したんだ!という発見を上手に日本語に残してくれており、新鮮な気持ちで読むことができた。

古文として読むとまず当時の風習の理解、それから古文自体の読み解きに集中してしまうけど、「ゴッドレスマンス」の世界観の中では細かいところは気にせずにおとぎ話として気楽に読めるからか、物語にどっぷり浸かって純粋に楽しむことができた。

さらに注釈を読むとプルーストの『失われた時を求めて』と比較した説明がなされたり、ギリシャ・ローマの古典やシェイクスピアを彷彿とさせるような脚色・言い回しがなされていたりと、作品上で西洋の古典と東洋の古典が出会いを果たしているのも面白くて興奮した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年2月5日
読了日 : 2022年2月5日
本棚登録日 : 2021年7月31日

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コメント 2件

地球っこさんのコメント
2022/02/05

shokojalanさん、こんばんは。

ウェイリー版「源氏物語」ってどっぷり物語の世界に浸って楽しめますよね、わかりますー!

クリムトの装釘には、どの巻もうっとりです。
クリムトの絵とウェイリーの源氏物語が見事に共鳴しあってるなぁとドキドキしながら、なぜかセンチメンタルにもなってしまう私です。

昨年は他のジャンルに興味がいっちゃって、3巻の途中で止まってたのですが、ちょうど再開したところでshokojalanさんのレビューが!
同じ本を読んでるブク友さんに会えて嬉しくて、ついコメントしてしまいました♪

shokojalanさんのコメント
2022/02/05

地球っこさん、コメントありがとうございます!

この版に出会えたのは地球っこさんのおかげなので、大変感謝しています。

私も(時間はかかりそうですが)完結編まで追いかけたいと思っています。3巻のレビューも楽しみにしていますね(^^)

クリムトの表紙絵、センスが良くて世界観にマッチしていて、うっとりしますよね。わかります…!

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