わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年10月20日発売)
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平田オリザは気にはなるんだけどなんだか胡散臭くて昔から避けてきた。演劇にも特に興味ないし。でも,本書は大当たり。著者に対する不明を恥じる。

「異文化理解能力」と日本型の「同調圧力」のダブルバインド

コミュニケーションに対する意欲の低下
コミュニケーション問題の顕在化
コミュニケーション能力の多様化

「世間で言うコミュニケーション能力の大半は,たかだか慣れのレベルの問題だ。でもね,二十歳過ぎたら,慣れも実力のうちなんだよ」

「コミュニケーション教育は,ペラペラと口のうまい子どもを作る教育ではない。口べたな子でも,現代社会で生きていくための最低限の能力を身につけさせるための教育だ。」


・会話:価値観や生活習慣なども近い親しい者同士のおしゃべり。
・対話:あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換。あるいは親しい人同士でも,価値観が異なるときに起こるその摺りあわせなど。

冗長率を操作する

「普段は不定形で,つかみ所のない「学び」や「知性」が,あるときその円環を美しく閉じるときがある。その円環は,閉じたと思う先から,また形を崩してはいくけれど。」

コンテクストの「ずれ」
弱者のコンテクストを理解する
シンパシーからエンパシーへ
=同一性から共有性へ

マイクロスリップ
ランダムをプログラムする

社交性=心が通い合うことはないからこそ必要な技術

「みんなちがって,たいへんだ」

「いまの日本社会は,漱石や鴎外が背負った十字架を,日本人全員が等しく背負わなければならない。かつては知識階級だけが味わった苦悩を,いまは多くの人びとが,苦悩だと意識さえしないままに背負わされる。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月31日
読了日 : 2023年10月31日
本棚登録日 : 2023年10月31日

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