ルビコン・ビーチ

  • 筑摩書房 (1992年1月1日発売)
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本棚登録 : 89
感想 : 9
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 表紙は横尾忠則さんの絵。一見すると、趣味に合わないが、島田雅彦訳とのことで購入。読んでみたら、カフカの様だった。この物語では世界がはっきりしておらず、夢で見る世界のように漠然としていてる。しかし、内面へ入れば入る程、圧倒的な力を発揮して、リアリティを増し、グイグイと引き込まれる。放っておけばどんどん内面へ内面へと入っていってしまう。
 作品は3つのストーリーからなり、キャサリンという少女を中心に話が進む。 第一部は夢の中の様で、 第二部は現実に近い感覚、第三部は詩的だった。
 この作品では、あらゆるところに挫折、裏切り、恐怖、逃避、倦怠等がばらまかれていて、その中で人々がもがいている。それが、非現実的な世界で繰り広げられているのにも関わらず、リアリティを持つ。しかし、気持ちが暗くなることはなく、とにかく圧倒され、何か大きなものを見た様な気持ちになった。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 文学(アメリカ)
感想投稿日 : 2013年8月17日
本棚登録日 : 2013年8月14日

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