終戦までの半生をつづった加藤周一さんの回顧録。
"旅行者は土地の人々と別の風景を見るのではなく、
同じ風景に別の意味を見出すのであり、またその故
にしばしば土地の人々を苛立たせるのである。"
加藤さんはこう書いているが、まさにここでいう旅行者
のような視点を常に持っていたのが、ほかでもない
加藤さん本人だったんだろう。
だからこそ、大本営発表に沿ったことしか書かない
当時の新聞からでも、その微妙な書き方の変化を
嗅ぎ取って、終戦を予測することもできた。
今の世界的な不況(と言われている状況)や、舵を
失った日本の政治は、こういう視点で見るとどう
見えるのか。
ぜひ聞いてみたかった、と思わせる説得力が著者の
言葉から感じられる。
昨年の岩波新書創刊70周年記念フェアでこの本を
購入し、その少し後に加藤さんの訃報を聞いた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本・雑誌
- 感想投稿日 : 2018年11月18日
- 読了日 : 2009年7月13日
- 本棚登録日 : 2018年11月18日
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