羊の歌―わが回想 (岩波新書 青版 689)

著者 :
  • 岩波書店 (1968年8月20日発売)
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本棚登録 : 646
感想 : 39
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終戦までの半生をつづった加藤周一さんの回顧録。

"旅行者は土地の人々と別の風景を見るのではなく、
同じ風景に別の意味を見出すのであり、またその故
にしばしば土地の人々を苛立たせるのである。"

加藤さんはこう書いているが、まさにここでいう旅行者
のような視点を常に持っていたのが、ほかでもない
加藤さん本人だったんだろう。

だからこそ、大本営発表に沿ったことしか書かない
当時の新聞からでも、その微妙な書き方の変化を
嗅ぎ取って、終戦を予測することもできた。

今の世界的な不況(と言われている状況)や、舵を
失った日本の政治は、こういう視点で見るとどう
見えるのか。
ぜひ聞いてみたかった、と思わせる説得力が著者の
言葉から感じられる。



昨年の岩波新書創刊70周年記念フェアでこの本を
購入し、その少し後に加藤さんの訃報を聞いた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月18日
読了日 : 2009年7月13日
本棚登録日 : 2018年11月18日

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